山茶花の夢小説
にゃんこものがたり番外編 5

『…「さが」?…其れはお前の家人の名前かい?』
 ****はこくびを傾げて言った。たったそれだけの動作が驚くほど優雅だ。かのんがぽかんと見惚れていると、****はくすりと笑った。
『いいよ、これからは私のことを「さが」と呼んでもいい。私とかのんだけの秘密だよ』
 こくこくと何度も頷くかのんにさがはにっこり笑ってほっぺにちゅっとキスしてくれた。


「あちゃあ〜」
 掌で顔を覆いながら、天を仰いで嘆息するのはこの磨羯宮の主・カプリコーンのシュラだ。

 彼の視線の先には、柔らかな素材で出来た猫ベッドの中でぬくぬくと団子になって眠っている二匹の猫がいた。片方は先日猫友達から無理に押し付けられた血統書つきの長毛種。猫嫌いで友人の新しい猫と折り合いが悪くて、拝み倒さんばかりに頼み込まれた気難しい猫が他猫と寄り添って眠っていた。
 だが、この場合問題があるのは他猫の方。偽教皇を標榜し暴虐をほしいままにしている男が唯一溺愛している猫なのだ。

「まさか、まだ手を出してやせんだろうな。かのんを傷物にしたりしたら、オレが教皇に殺される…」
 眉間に縦皺を寄せて苦悩している磨羯宮の主の前で二匹の猫は仲良くすやすやと眠っていた。


##clap_comment(拍手ください!)##


[*前へ][次へ#]

46/65ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!