山茶花の夢小説
「お誕生日おめでとう」 その1
 ん〜?自宮にもいらっしゃらないし、教皇様も御存知ないというと、どこにいらっしゃるんだろ?

 広い聖域中をうろうろと、人を訪ねて歩き回るのは思ったより骨が折れた。インドア・タイプには見えないけど、決してアウトドアってカンジには…見えないことも無いか。意外と無精ひげなんか似合いそう。さっぱりとした短髪にお髭をはやしたりしたら、かっこいいかも〜。

 はい、私の探しているのは先日誕生日を迎えたカプリコーンのシュラさんです。

 みんな人が悪いったら、当日が過ぎてから教えてくれるんだもの。幾ら本人が余りおおっぴらにしたく無いって言ったって、自分達だけで宴会して終わりだなんて冷たいわよねぇ。

 だから、せめてプレゼントだけでも渡そうとしているんだけど、こういうときにかぎって何処にも見当たらないなんて。外出届けは出て無いし、どこにも派遣されて無いはずだからこの聖域にいるはずなんだけどな〜。

 12宮をまず教皇宮まであがって、教皇の間で折り返し。徒歩でよ!徒歩!私は聖闘士じゃないんだから、もうちょっとなんとかならないかしら。

 まぁ、今回はワタクシごとだから仕方ないけど…。

 双魚宮でも収穫はナシ。磨羯宮は主の姿ナシ・・・あたりまえなんだけどね〜。でも、ラッキーな情報は人馬宮でもたらされたの。

「シュラなら鍛錬場でみたぞ」
 ありがとぉ!さすがは「鍛練場のヌシ」だけあるわ。任務に当たっていない時はずっと鍛練場に入り浸ってると言う噂はほんとうだったのね。

 アイオロスさんにお礼を言って、私は早速鍛練場に向かう事にしたわ。別れ際にアイオロスさんが鼻の頭を掻きながら、すごく老成したような顔でくすぐったそうに微苦笑していたのが印象的だったケド。
 あれは14歳の顔じゃないでしょう。辛い恋をしていると言う噂は本当なのかもしれない…。

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