山茶花の夢小説
任命式        その2
 堅苦しい式典はほどほどにして、その後はお待ちかねの大宴会に雪崩れ込んじゃうし〜。その日の当番に当たっている人たち以外の全員が参加してるんじゃぁないかって大人数でも、さすが「アテナの御前」で乱れる人はいなかったわ。
 前任者が肝臓を壊したのってこの宴会のせいじゃぁないのかしら。
 
 アイスティーを召し上がるアテナのお傍で、ギリシアワインを嗜んでいる私に赤い髪の美形の黄金聖闘士が話しかけてきた。
「楽しんで居られる所失礼するサエラ嬢、私は水瓶座のカミュ。その昔、城戸邸でお世話になったキグナスの氷河の師匠にあたる。これからは、弟子ともどもよろしく頼む。」
 「なになに?俺も混ぜて。あぁお嬢ちゃん、俺は蠍座のミロ。よろしくね」
 バチンと音を立てそうなウィンクをくれて金髪の巻き毛のハンサムが乱入してくる。
 
 それからは、入れ替わり立ち代り挨拶に来たわ。黒髪の渋い二枚目だの、人のよさそうな大きい人だの、チンピラまがいのにいちゃんだの、どちらが上だかわからない童顔の兄弟だのがひっきりなしに現れたのよ。
 
 お酒には強い私でもいい加減人酔いしてしまった頃、ものすごいもしゃもしゃ頭の平安眉の美形と青紫の長髪の憂いを帯びた美形がアテナのご機嫌伺いにやってきたのよ。
 聖戦後の聖域のあり方とか海界・冥界とのかかわり方についてとか、難しそうな話題で盛り上がっている沙織お嬢さんと偉そうな平安眉の2人に付いていけなくて、所在無げにしている私に気付いて憂い顔の美人が声を掛けてくれた。
「楽しんでおられるか?サエラ嬢。なにぶん男所帯なもので、騒々しくて申し訳ない。だが、悪気はない連中なので勘弁してやって欲しい。」
 私のグラスが空なのに気づくと自ら新しいワインを持ってきてくれた。
「どうぞ。同じ物で構わなかったかな?」
 にっこりとグラスを差し出されて、ときめかなかったら女子じゃないでしょ!ただでさえ見惚れてしまうような美形が、私一人ににっこり微笑んでくださるなんてなんて行幸なのかしら。これは…私の聖域ライフは幸先いいかもしれない…。ありがとう、沙織お嬢さん!ありがとう辰巳おじ!禿げなんていってごめん…。あぁ、なんか気の利いたことを言わなければ!
や〜ん…こっちを見てる〜(当たり前か)

「いえ、ありがとうございます。いただきます!」
 私は早口でお礼を言って俯くのだけで精一杯だったわよ。

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