山茶花の夢小説
秘密のお茶会 その5
私はラダマンティスさん…言いにくいわね。ラダさんに軽く会釈をして、シュラさんの所に行ってみたの。
「すまない、カノンのことで口を滑らせてしまった」
いきなり謝られてもねぇ。気持ちが顔に出てしまったのか、シュラさんがすまなそうな顔になる。
「何となくあいつを見ていると他人とは思えなくて、つい」
それはわかるような気がする。きっと、どちらも気苦労が絶えないんでしょうね。
「なんとかあいつをカノンと面会させてやれるように取り計らってもらえないだろうか」
私は、シュラさんの話を聴きながら、ラダさんの方をチラッと見てみた。
ラダさんはお行儀良く、私たちに背を向ける格好でアテナの私室のドアに張り付いている。…きっと、おみみはダンボになっているんだろうけど。
「サガは、今日は昼からロドリゴ村に慰問に出かけていった筈だ。此処はオレとソレント殿で充分だから、ドクターサエラはよかったら、あいつをカノンに会わせてやってくれないかな」
まぁ、無骨な男の人が一途な恋に苦悩するのはキライじゃないから、此処は一つ骨を折ってあげましょうか。私はポケットから携帯を取り出すと双児宮に居る筈のカノンさんに電話を掛けてみたの。
♪〜
「…はぃ」
うわ、ちょっとヤバそうな声。おなか壊しただけなのに、こんなに声がかすれちゃうわけないよね。やっぱり、昨夜からずっとお兄さんのサガさんと…・
「サエラさん、どうかしたのか?」
ありゃ、向こうから心配されちゃった。こうなったら仕方ない正々堂々といきましょう。
「あ、なんでもないの。今ね、沙織お嬢さんの部屋の前なんだけど、パンドラさんのお供で聖域に来ているラダさんがあなたに逢いたいといってるのよ。できたら逢ってあげてくれないかしら?」
「ラダマンティスが?」
幾分か、怪訝そうに聞き返してきた。其処を畳み掛ける。
「そうよ、ソレントさんとの話で、あなたの事が出たんだけど、今日はおなかを壊して臥せって居るって聴いたら、ぜひお見舞いに行きたいんだってさ。具合はどうなの?ラダマンティスさんを連れて行ってもいいものかしら?」
「べつにかまわんが、30分ほど待って欲しい。まぁ、アテナの私室におられるのなら、ゆっくり目に歩いて来られたらそのぐらいは経ってしまうか」
「判ったわ、30分後に着くようにすればいいのね」
いろいろとやる事があるんだろうなぁ。
私は携帯を切るとラダさんにOKが出た事を伝えてあげたの。ラダさん、一瞬凄く嬉しそうな顔をして、慌ててバツの悪そうな顔をしたけどバレバレですって。
今更怖い顔しても無駄ですよ〜だ。
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