山茶花の夢小説
秘密のお茶会   その4

 70型の巨大なテレビ画面にぼんやりと何かが浮かび上がり、やがてはっきりした文字になった。

「12宮 愛の劇場 双児宮編」
 悩ましげなBGMが流れて暗転。

 沙織お嬢さん…これ編集したのお嬢さんよね?何でこんなに昭和なムードなのかしら?お嬢様はおいくつだったかしら?ひょっとして年齢査証?まさかね。子供の頃から知ってるからそれはありえないけど。
 う〜ん、とりあえず論評はは見てからよね。

 なんとなくもわもわ〜な広間っぽい所が映ってるけど、此処もしかしてお風呂場なのかしら?湯気の向こうになにやら肌色っぽいのが動いてる気がする。

 だんだんカメラが寄って行って、同時に音声もはっきりしてくる。

『あぁんサガぁ…んんっ…』
『カノン…私のカノン』
 
 え…と、これって、あの双子よね?話には聞いてたけど、やっぱり…そういうことなの?

 あ、はっきり見えてきた。でも、どっちが女役をやってるのかしら?やっぱりあの優しげなサガさんの方よね?あの人ならなんとなくありそう

 くちゅくちゅと濡れた卑猥な音があたりに響く。針の落ちる音が聞こえそうなくらい緊迫した雰囲気。

『サガぁ…指はもういいから、入れてくれ…サガのがほしぃ』
『ああ、私もお前の中に入りたい。入れるぞ、いいんだな』
『…嫌だっていっても入れるんじゃないのか?』
『当たり前だ。こんな気持ちいいこと我慢できるか』
『ばか///』
 ふたりして笑いあっていたのが急に真顔になって、ひとりがもうひとりの足を担ぎ上げて腰をぐっとひきつけた。もうひとりは切なげな声を上げて、体を仰け反らせる……って、今なんか紅いの見えなかった?
あれ、たぶん傷跡よね。

 と言う事は…今組み敷かれて体を捩じらせては甘い声をあげてるのって、サガさんの方じゃなくてカノンさんの方なの?意外だわ〜。
 サガさんとカノンさんって、どっちかって言うと穏やかで優しいサガさん、活発で野生的なカノンさんってイメージがあるからてっきりサガさんの方が女役だと思っていたわ。

 ホントのこと言うと、カノンさんのこと少しだけ気になっていたから…実のお兄さんとそんな仲だったなんて、ちょっとショックよね。
 

「今、入れたよね」
「そうね」
「…」

 3人が食い入るように画面に集中しているのがおかしい。でも、わかる気がする。こんな風に他人の色事何て、見れる機会はないものね。

『は…あぁん…サガの…きもちいいよ…』
『そうかい?』
『うん…きもちいい…』
『それなら、もっと気持ちよくしてあげる』
 抱えてる両足に、体重をかけてぐっと。

『うあっ!サガくるし…』
『奥の方がいいんだろ』
『やめろ…いきができな…』
『あいつのの方が奥を突けて気持ちいいと言ったそうじゃないか』
『そ…んなこと…いってな…』
『私のは奥まで届かんそうだな。道理で奥の方ばかりねだると思った』
『ちが…くぅう…』
 
 カノンさんの体を二つ折りにして、上から体重をかけてものすごいピストン運動を始めちゃった。

『く…サガぁ』
『奥の方が気持ちいいんだろう?どうだ気持ちいいだろうが!気持ちいいと言ってみろ!』
『サガ…くるし…』
『私よりもあいつの方が良いと言うのか!答えろカノン!』
『……どちらか…んて…決められな…』
『だめだ!許さない』
 カノンさんの体を押さえつけて、身動きできなくしてから奥の奥まで入れちゃおうとしてるみたいに激しいピストン運動が続いてる。なんか、やきもち焼いてるのかしら。無茶苦茶に腰動かしてる。

『おれは…うくっ…おまえも…アイツも…どっちも好きだよ。どっちとする…も好きだし…きもちいいから…どちらかだけなんて…ぐっ…きめられないょぉ』
『カノン…』
 お兄さんと繋がったままでカノンさんが、腕を差し伸べてサガさんの頭を引き寄せてCHEってした。どうやらべろちゅーまでいったかな。

『カノン…』
『…おれは…独りしか居ないから、あんたたちで…う…俺の体を引き裂くといい。あんたたちが…どちらも俺を手に入れたいなら…』
 仲良く半分ずつにするといいさ…昏い眼をして嗤う。
 
『…私たちが欲しいのはお前の骸ではない。あんな思いは二度とゴメンだ。スニオン岬でお前を失ってしまったと思った時にあいつはずっと私を責めるし、私はまさか本当にお前を失ってしまうとは思っても居なかった。あの時の苦しみの半分でもいいからお前に見せてやりたいよ。それならば私たちがどんなにお前を愛していたかわかってくれるだろう』
 

「そんなこと言われてもね…。あそこは、もともと生贄を捧げる場所だったんだけどね」
 高級な焼き菓子をまるで煎餅のように噛み砕きながら、ジュリアンくんがぼやいた。
「そんなとこに美少年がいたら、自分への捧げ物だって思っちゃうよ…」

(…海龍は余との逢瀬では一度もあのようにかわいらしい声を出した事はない。実も世もないような表情でよがったこともない。気をやる時も常に一歩引いた感じで…)

「ジュリアン!」
 沙織お嬢さんのエルボーがジュリアンくんの鳩尾に炸裂した!
「ポセイドンが顕現しかけてたわよ」
「ぐ…すまない…アテナ…礼を言う…」
 鳩尾を押さえてうずくまるジュリアンくん。いたそ〜。
 
『俺だってお前達を愛しているよ。だけど、どちらか一方だけには決められない。だって、お前達はもともと一人なんだから』
『カノン…』
『二人とも愛してる。どちらも同じくらい愛しているんだ』
『カノン』
『どちらとも寝るし、どちらも俺を好きにしていいから。だから、もう争うのはやめろ』
『だが、私のは奥まで届かんからお前を気持ちよくしてやれないのだろう?』
『そんなことはないぞ。あいつに何を言われたかは知らないけど、お前のはさきっぽが太くなってるタイプだから入れる時より抜かれる時がたまらないぜ。思わず腰振っちまうくらい気持ちいい』
『…入れる時より抜く時か…』
『そうだ、ぐっ!と入れてゆ〜っくり抜いてくれ。これはお前のじゃなきゃ出来ないから』
 
 うっわ〜めっちゃくちゃかわいらしい笑顔!これにはサガさんも参ったようで、カノンさんを抱き締めてキスしたの。カノンさんの手もサガさんの背中に回って良いムードでピストン再開。

『あぁんっ、サガぁ気持ちいいよぅ』
『カノン!カノン!』
『あぁ』


「海龍は…やはり余よりも兄の方がよいのであろうか…。15歳で余の元へ来た時にはもう既に男を知った体だったと言う事は、やはりあの兄と…」
「ほら、ジュリアンしっかりしなさい!」
「お茶のおかわりはいかがかしら?」
「あ、あたしもうお暇しなくちゃぁ」
  
 あたしは、仕事を言い訳に神々の娯楽室を後にしたの。頭の中では色っぽい喘ぎ声やピストンの音がぐるぐる回っていてめまいがしそうだったわ。やっぱり、私には刺激が強すぎたみたい。あとでどんな顔してあの人たちに逢えばいいのか、わからなくなっちゃったわよ。
 
 ただ、前にシュラさんが言ってた、あいつらに拘わると早く老けるぞって言葉の意味はわかったの。

 完全防音の神々の娯楽室を出ると下界の物音が戻って来たわ。

「サエラ殿、…カノンの具合はいかがな物だろうか?」
 私の前にぬっと現れたのは黒い鎧のラダマンティスってひと。
「貴女は女医だと聞いた、双子座の黄金聖闘士カノンはどんな病状なのだ?出来れば見舞いにいきたいのだが」

 あ〜この人もカノンさんのことが好きだって聴いたわね。サガさんとのことを知らなかった時に神様達が、面白がってくっつけちゃったって。
 この人のほうは本気でカノンさんが好きだったのに、カノンさんはサガさんが好きだけど神様達にサガさんのことで負い目が合って、この人と付き合うことになったんだって聴いたわ。そのうち情が移っちゃって困ったことになってるとも。

 神様達は悪い事をしたっていうけど、この人も被害者よねぇ。


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あきゅろす。
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