山茶花の夢小説

秘密のお茶会 

  その1
プルルルッ
「はい、医務室です。どうかしましたか?」
「あぁ、サエラさん。いまね、夏コミの反省会をしているの。パンドラや、ジュリアンもいるのよ。良かったら来られないかしら?美味しいお菓子もあってよ」
 沙織お嬢さん…あいかわらず腐女子の道をまっしぐらだわね。
 
 アテナ神殿の奥に沙織さんのお部屋があるのだけど、正直この階段なんとかならないかしらねぇ。聖闘士の皆さんならともかく、一般人にはすこしきついわ。今度からジョギングシューズを履いてこようかしら。
「おや、ドクター##name1##。何処へ行かれる。」
「こんにちは、シュラさん。沙織さんに呼ばれているのよ」
「そうか、オレもアテナの呼び出しを受けたのでな。よかったら、其処までご一緒してもいいだろうか?」
「ええ、よろこんで」
 独りで階段上っていくより、連れが会った方が楽しいわよね。この人ハンサムなのに、いつも疲れた顔してる。胃でも悪いのかしら。
 
「聖域には馴染まれたか?」
「ええ、おかげさまで」
「それはよかった。此処は、民間とは違うことわりの支配する世界だから馴染めなければ大変だ。一旦馴染んでしまうとそれはそれで住みやすい所なのだがな」
 私が笑うとシュラさんもにっこりしてくれた。この人って、普段はこわもてだけど笑うと優しい顔になるのね。いい感じ。

 アテナ神殿に入ると控えの間があって、そこに見たことのない真っ黒な鎧を着たごつい人と、黄金とピンクゴールドの鎧を着た人が居たわ。
「よぉ、ご苦労だな」
「うむ」
「こんにちわ、シュラさん」
 重々しく頷く黒い人と、明るく笑うピンクゴールドの鎧の人。綺麗な顔して髪の短い人って、此処じゃ珍しいタイプよね。
「そちらはどなた?」
 と、短髪の綺麗な人。ねぇ、紹介してよシュラさんってば!

「こちらはドクターサエラ。アテナの幼馴染にして聖域の新しいドクターだ。…ドクターサエラ、これなるは冥界の冥闘士ワイバーンのラダマンティス」
「…天猛星ワイバーンのラダマンティスだ。以後よろしく頼む」
「初めまして、お会いできて嬉しいわ」
 もさもさと繋がった濃い眉毛の下から、鋭い目でこちらをにらみながら会釈してくれても怖いわよぅ。

 ふと思い出したことがあって、後ろ手にシュラさんの腰の辺りをつんつんして聞いてみたのよ。

『この人がサガさんの言ってた、カモメ眉毛の人なワケ?』
『あぁ、そういうことだ。察しが良くて助かる』
 へぇぇ、この人がねぇ。

「こちらは、海界の海将軍・海魔女のソレント。笛の名手だそうだ」
「海魔女のソレントです。どうぞよろしく」
 と、にっこり。こちらも釣られてにっこり。
「初めまして、こちらこそよろしく」
 たいそう平和的な初会見だったわ。

「では、オレはここまでだ。こいつらの相手をするように呼ばれただけだからな」
 私は、シュラさんに軽く頷いて奥の間に続く扉を開けたのよ。


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