山茶花の夢小説
紅い薔薇のこと  その2
 
長い冬が終わって、聖域にも新しい季節が巡ってきた。

 それは、同時に今までの悪事が暴かれるということ。聖域を訪れた新しい女神は瞬く間に人心を掌握して、これまでの恐怖政治を一掃した。

 邪悪の限りを尽くした魔の偽教皇として、黄金聖闘士双子座のサガは自害に追いやられ、その走狗と化したシュラ、デスマスク、アフロディーテの3人は戦いのさなかに命を落とした。

 と、私は聞いているわ。

 新しい真実のアテナこと私の幼馴染の沙織お嬢さんは多くを語らないけれど、もっとこう突っ込んだ事情とかもあったと思って間違いないと思う。

 でも、ほとんどの人たちがアテナの名の下に甦って来ている以上、これほどデリケートな問題もないわよねぇ。まさか本人に聞くわけにも行かないし…。
(ここで、ほとんどって言ったのはアテナの要請に対してあえて甦らないことを選んだ人たちがいたことなの。本人が拒む以上、無理やりに生き返らせることもしたくないしで、その人たちの多くは生まれ変わることを望んだというわ。冥界の奥深く神に逆らった大罪人たちのうちアテナに殉ずる事を選んだ英雄たちはコキュートスから開放されて、こちらも生まれ変わることを選んだから当分聖域近辺はベビーラッシュかもしれないわね。…もっとも、この聖域に女の人は限られているから身近に妊婦なんて見たことないけど)

 ましてや、首謀者と言われているサガさんやおせっかい焼きで気苦労の多いシュラさんには絶対に聞けないわよねぇ。

 でも、知りたい!ホンのさわりだけでもいいから誰か教えてくれないかしら?

 …と、常々思っていたら絶好の機会が訪れたのよ。


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あきゅろす。
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