山茶花の夢小説
任命式 その1
私こと辰巳サエラ がこの聖域に医師として就職することになったのは、父方の遠縁がグラード財団の秘書室長で総帥たる城戸沙織嬢とも顔見知りであった事だけじゃなくて、(内緒だけど)大酒飲みなことはけっして無縁じゃないと思う。だって前任者達がみんな肝臓を壊してやめていったと言う話もまことしやかに囁かれているもの。
何人もの若き医師がグラード財団の肝いりで派遣されてきたのだけど、数百人もの体育会系男子(女子もいる事はいるけど、10数人ってとこかな)のケアをしなけりゃならないストレスでお酒に逃げて体を壊してしまったらしいわ。
12人の黄金聖闘士を皮切りに24人の白銀聖闘士と50何人かの青銅聖闘士にその候補生達と雑兵の皆さんをドクター2人と8人の看護師さんたちでフォローしなきゃならないんだから大変っちゃあ大変だけど、その分ヤリガイはあるわ。
男ばかりのアテナの聖域に乗り込んでいくなんていったら、ウチの親や学校の仲間達は心配したけれど逆に「女神の聖域」だからこそ女性の権利もしっかりしてる。だいたい、女神って言っても子供の頃から知ってる沙織お嬢さんなんだもの。
私が着任した時には、練兵場に総ての聖闘士の皆さんを集めて、私独りだけのために任命式を開いてくれたの。
すごかったわよ!豪華絢爛って言葉がぴったりの黄金聖闘士が12人。わざわざ中国の奥地から私のために駆けつけてくれた人までいたそう。
白銀聖闘士の24人はいかにも実戦的ってカンジ。仮面をつけてるのが女性聖闘士だって聞いていたけど仮面なしでゴージャスな美人がいるのはなぜ?っておとこのひとなの〜!
青銅聖闘士は元気な坊や達が多いのかな。たぶん、この子達が医務室のメインのお客さんたちね。
昔、城戸邸にいた子供たちもいて懐かしかったぁ。
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