山茶花の夢小説
らっぱのマーク 12

 クリスマスパーティがなんかグダグダに終わってしまったもので、12月31日から1月1日のカウントダウンをはさんだニューイャーパーティは盛り上がったわ。
 うるさいお偉方がいない内輪だけのパーティだったからよけいにね。
 
 沙織お嬢さんは日本に居るし、シオン様はお一人でスターヒルに上って星見の儀式を執り行われるの。教皇としての一番大事なお仕事だそうで、何日も前から潔斎されてスタンバイされてたわ。
 幾ら仲のいい童虎様も同伴は許されないそうで、あの淋しいスターヒルにお一人で篭ってらっしゃるの。もっとも周りが騒がしくては「星のささやき」とやらは聞こえてこないでしょうし、精神統一が必要なのだそうから一人じゃないとダメなのは仕方ないのかな。

 私からしてみると星占いの精緻かつ大仰なものだと思うんだけど、何百年からの歴史があるそうだし昔は学問のひとつだったそうね。
 一度「サガの乱」についてどう星は語っていたのか聞いてみたいところだけど、ぜぇぇぇったいに怒鳴られてお仕舞いのような気もするわ。
 彼らにとってもう済んだ話しだし、どんないきさつがあったとは言え自分たちアテナ軍の勝利に終わったのなら問題ないですもんね。
 ただの好奇心でシオン様に怒鳴られ、サガさんに悲しい顔をさせるくらいなら黙ります。

 好奇心は猫を殺すとも言うしね。ワタシまだ死にたくありませ〜ん。

 うふふ。すこし酔っちゃったかも。シュラさんとデスマスクさんがクリスマスの敵を取るって山のようなご馳走と沢山のお酒を用意してくださったの。といってもカウントダウンが始まるまではもっぱら食べる方に専念していて、あとで星見の終わったシオン様から教皇の間で黄金聖衣で新年のお清めを受けなくちゃならないからお酒は各宮を回った後でって暗黙の了解があったそうよ。道理でやたらパスタとかお腹にたまるものばかり回ってくると思った。
 飲み物もせいぜいがワインとか軽いものばかりで、黄金いちの大酒のみのバランさんがちびちびとビールをすすっていたのがかわいかったわ。(それを口にだしたらムウさんに殺されそうな気もするけど)

 スターヒルから戻られたシオン様は清々した顔つきで、新しい年に不穏な訪れの兆しはないことを表明されたの。重厚で威厳のある教皇としての正装であの高いスターヒルに上られたのも凄いけど、クリスマスからこちらほとんどのまず喰わずだったのが驚きよね。
 なんでも精神を清めて星の導きを得やすくする為だそうだけど、今風にいうと自らを極限状態においてトランス状態に入りやすくするってかんじかしら。

 やっぱり教皇は単なる名誉職じゃなくて、大変な激務なのね。

 さらに教皇の間で新年の祝福を授けた後は、正装した黄金聖闘士たちを引き連れて各宮をひとつひとつ祝福して回るそうよ。それからもう一度アテナ神殿で新年の挨拶を済ませたら、やっと解放されてパーティ会場に姿をあらわされたわ。
 
 重苦しい正装を解かれたシオン様を交えた此処からが無礼講のパーティの始まり。

 もうみんな呑む飲む。いくつもの大きな樽が開けられてはすぐ空になり、空き瓶が山をなすとはこのことよ。肉や魚や甘いものなどどんどん料理も運ばれては空になり、大酒のみ兼大食漢のみなさんを満足させるべくシュラさんやデスマスクさん童虎さんまでもが楽しそうに立ち働いていたわ。

 すべて世はこともなし。

 ことしもつつがなく誰にとってもいい年であればいいわね。
  
                   おわる


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あきゅろす。
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