山茶花の夢小説

聖域の女医さん 

        
 私はドクター・辰巳サエラ。
聖域に来て今年で2年目の医者です。

 どうみても遺跡にしか見えない(ひょっとしたら世界遺産登録済みかも)聖域の中で昔のままの生活なんて、冗談じゃないと思っていたけれど結構気楽な生活を送っているわ。
 さすがに要所要所では現代的な装備もあるしね。地下の岩盤をくりぬいて自家発電施設やら光ケーブルを通しちゃってるのには驚いたってか呆れたけど。おかげさまで掃除機や洗濯機、何よりビールの冷やせる冷蔵庫が使えるっていうのがありがたいわ。昔は井戸水で冷やしていたと言うから一応は覚悟して行ったんだけど杞憂になったみたい。
 もちろん陸の孤島ってワケでもないみたいだし。

 流石にアテナをお護りするための12宮はともかく、私たちや雑兵のみなさんの寝泊まりする宿舎は人里離れているとは言え結構行き来があったりするの。
 もっとも流行りのおしゃれとかには疎くなっちゃうのは仕方ないかな。

 私の本来の専門は内科なんだけど、此処ではそんな事も言ってられません。外科、耳鼻科、放射線科となんでもござれの独り総合病院状態です。もう一人の男性のドクターと8人の看護士さんも頼りになるけれど、なんせ相手が多いのよ。

 実際の所、聖闘士の皆さんはランクがあがるほど大概の怪我なんかは自分で小宇宙を燃やして治しちゃうので余り医務室の意味がないのだけど、頭痛や腹痛などの内科系の痛みとか修行ではどうにもならない症状の時に感謝されています。それまでは、殴って気絶させるなんて物騒なことも平気で行われていたみたい。
 後は骨折の時も添え木で固定とかなしで治しちゃうから、骨が曲がってくっついちゃったりするので、骨折と聞いて速攻でサイズの合った添え木が作れるように大工仕事も上手になったわ。プラスチックのパイプが結構役に立ったりするのよね。様々なサイズを日本から取り寄せてます。グラード財団には建築部門もあって助かっちゃうのよね。

 そんな、私の聖域でのお話です。

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