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APH
悪戯交じりの看病.英
俺は今非常に苦しい。
というのも傘をささずに雨の中を歩いたせいである。
うだうだ考えていても何も始まらないのでこれから寝よう。
と思ったとき廊下をバタバタ走る音が聞こえた。
あー、玄関閉めるの忘れてた。泥棒だろうか。
いやいや、泥棒ならもっと静かに歩くだろう。という事はあいつか。
「イギリスー、風邪ひいたのー?」
バンッと大きい音がしてナース姿の彼女が入って来た。
「な、何だ!その格好!」
「うふふー、リアルナースさん登場!えへへへへ、という事で@ちゃんが看病してあげちゃうんだよ!感謝しなさいっ!祖国様から聞いたんだよね、こういう時何すればいいか!」
「まずその格好やめろ!悪化する!」
「えー、何がですかー?イギリスは変態なんだね!」
「テメェの方が変態だろう!まじでやめろその格好!」
と言いながら座ると@は慌てて、
「わ!ダメだよ!寝てなくちゃ!」
と俺にシーツを無理矢理被せた。
「俺は寝る。帰れ」
「はー?何言っちゃってるんですか!?看病しに来たんですよ!治るまで帰りません!だから帰ってほしければさっさと治してください。あ、台所借りますね」
そう言って台所の方へと駆けて行く。
……ったく。
うつったらどうするんだよ。
それより、何で俺が風邪って知ってるんだ?
暫くして慌しく扉が開いた。
「できちゃったんだよ!卵粥!傑作!」
そう言いながら俺の方にトレーを持ってくる。
彼女は俺の前まで来るとベッドに座ってスプーンを座っている俺の口の前まで持ってきて、
「はい、あーん」
等と笑顔で言いやがった。
いやいや、何だ。この状況は。
どこの新婚さんだよ。
「自分で食える」
そう言ってスプーンをとろうとすると彼女は俺の口にスプーンを強引に突っ込んだ。
熱い。死ぬ。
「あ、手が滑っちゃった!」
嘘だ。この女。嘘吐いてる。
「うぐ……嘘吐くなよ」
「うふふ、嘘なんか吐いてないよ!はい、二口目、あーん」
「……」
きっと。
きっとここでさっきのような行動をとると再び口に突っ込むつもりだろう。
俺は黙って口を開けると彼女は待っていました、とでも言いたげに粥を運ぶ。
「はい、良く食べれましたね!」
なんて無邪気に言っている。
俺は殆ど心に余裕なんてものがねぇけど。
「はい、三口目!」
彼女は再び粥を掬ってにっこりと微笑む。
俺が黙って口を開けると同時に、扉が開いた。
「イ、イ、イギリス!?」
フランスのワイン野郎だった。
「あ、フランスさん」
彼女はスプーンを俺の開いたままだった口に突っ込んでフランスの方へにっこり微笑む。
いや。おい。待て。状況把握ができないんだが。
「日本のお嬢さん、どうしてここでそんな格好でそんな事してるんだい?もしかして…イギリスに無理矢理……」
フランスは扉を閉じた。
その後廊下を駆ける音が聞こえた。
きっと。これは。悪い夢だ。
「うふふ、フランスさんったら何しにきたのかな?」
彼女は悪戯っぽく微笑む。
いや。え。それは。え?
「イギリスさん、じゃあお粥あとちょっとなんで食べてくださいね?あーん」
そして何だ。これは。
その後俺は最後まで粥を食べきった。
味はまあまあだった。
不味いとは言わない。
それから薬を飲んだ。
「俺寝る」
そう言って布団に潜ると彼女はベッドから立ち上がり
「じゃあ食器片付けてくる」
と言って部屋を出て行った。
悪戯交じりの看病
(嫌がらせか悪戯か意地悪か)

ナース@薄雲

20110116

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