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APH
その笑顔をいつまでも.独
「お久し振りです」
「ああ、久し振りだな」
彼女はゆっくりと俺のほうへ向かって歩いてきた。俺の目の前で止まってにっこりと微笑む姿は花が咲いたように美しく、華やかで、脆そうだった。
「今日は少し寒いですね」
「ああ、そこの喫茶店にでも入るか」
喫茶店なんかガラではないが、彼女が凍え死ぬ事を避けるためにも喫茶店に入った。いや、凍え死ぬ、は少し大袈裟なのかもしれないが。
「では珈琲を」
「俺も」
店のマスターにそう言うと、マスターは頷いて香りの良い珈琲を俺と彼女の前へと黙って出した。
「あの、ドイツ様。暫く会えませんでしたが、体調とか、大丈夫でしたか?」
「ああ、風邪すらひかなかった」
彼女は「良かったです」と言って珈琲を一口飲んだ。
「それより、病気は大丈夫だったか?」
「はい、悪化することなく順調に快復しています」
「そうか、それは良かった」
「有り難うございます」
「そうだ、これ。もらってくれ。行った先で買ったのだが」
俺は少し荒々しくポケットを探り小さな箱を彼女へと出した。
「これは…」
「ペンダントだ。雪の結晶が好きだっただろう?」
小さな雪の結晶の形をしたガラス細工を通したペンダント。
彼女はそれを見て嬉しそうに微笑んで「ありがとうございます」と俺に言うとそれをつけようとした。が、彼女はつけにくそうにする。こういったアクセサリーをあまりつけた事がないのだろう。
「かしてみろ」
俺は彼女にペンダントをつけてやる。
「有り難うございます」
彼女は、本当に嬉しそうに、花が咲いたかのように、俺に微笑んだ。
その笑顔をいつまでも

笑み@薄雲

20101228

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