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APH
静か.仏
クリスマス。高級レストラン。のはずなのに彼女は無愛想に黙々と目の前にある料理を食べている。もしかしてお兄さんの事嫌いなのかな。いや、それは違うよね。
「何か話さないかい?」
彼女は動きを止め、フォークで貫いたメインディッシュの肉を皿に戻す。そして顔をあげてジッと俺の顔を見る。眉間に皺が寄っている。本当に嫌いなのか。
「……」
「あ、いや、何か話そうよ」
彼女に見つめられ、しどろもどろになってしまう。
「……何、話せば良いの?」
彼女は俺に問う。
「いや、何でも」
曖昧な返事だ。全く……。
彼女は急に顔を赤くする。
「……だって、何、話したら良いか解らなくて、それで」
ああ、そういう事か。
「良いよ、何でも」
「いや、それが一番困る返事なんだけど」
ツッコミをいれられてしまった。
「ああ、そうだね」
「うん」
「じゃあ、もう一度乾杯しよう」
「え?」
「そこからまた始めよう」
「は?」
「グラス持って、ほら」
「……?」
「メリークリスマス」
グラスが小さな音をたてる。
良かったのはそこまで。
再び静けさが戻ってくる。
完璧に、完全に、滑った。
完膚なきまでにグダグダになってしまった今年のクリスマス。
静か

恥ずかしがりやな乙女@薄雲

20101224


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あきゅろす。
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