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0099
※失恋


「ねえ別れようよ。面白くないし」

「何だと?」

「私、実はウルキオラよりも今はグリムジョーが好きなの」

どういう事が理解も出来ずに彼女の淡々とした話に俺は耳を傾けた。殆ど筒抜けだったが。

「グリムジョーは大きくて温かくてウルキオラと違う愛があるって言うか、大きな手で私の手を握ってくれた時の感覚が忘れられなくて、ぶっきら棒な彼だからかもしれないけどそれが余計キラキラして見えたの。まるで王みたいな人だった。邪知暴虐だと思われがちだけど、それでも皆の事を誰よりも思ってくれてるような瞳だった。その点ウルキオラはいっつも自分勝手で私の意見は否定するし温かくないの。私を見た時の視線も冷たくて何考えているか解らない。確かに付き合い始めた当初はウルキオラの事好きだったけど今はもう違う。冷めちゃったのかもしれないし満足しきっちゃったのかもしれない。ウルキオラの冷ややかな態度が私は嫌い。だって冷酷にしか思えないもの。私はやっぱりグリムジョーの事が―――」

パンッ!

そこまで彼女が言った時、気付けば俺は彼女の頬に平手を喰らわせていた。

乾いた音が響く。

「塵の分際で―――」

「やっぱり私の事そういう風にしか思ってなかったのね」

現時点の殴る対象は愛している者だった。

カタルシス
(殴れば心が晴れると思った)

晴れない心@薄雲

20110530


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