0093
一瞬にして私は凍った。不思議な感覚だった。
「背、高い」
「あァ?」
何メートルあるのだろうかと考えてしまうくらい高い背。
そんな事をぼぅっと考えながらノイトラを見つめていると手を頭の上に置かれた。その手は私を押さえつける。
「痛っ!痛い痛い!いたたたたたたた」
「可愛気の無ェ女」
鼻で私を嘲笑って私を押さえつける。
威圧と霊圧とのコラボレーション。
従属官にもなれないような弱い私には耐えられい。
くそっ。今に見てろよ。なんて思えない。
だって勝てるはずが無いもの。
彼がベロッと出した赤い舌には“5”という数字が刻まれている。
十刃(エスパーダ)だからって理不尽だ。
理不尽な圧力。
「止めて、くださいっ」
「こンぐらいで終わった事に感謝しろよ」
バチンッと弾いた彼の指が私の額にクリティカルヒットする。
くそっ。理不尽だ。片想いなんて理不尽だ。
彼は笑いながら廊下を歩いていく。
背の高い彼は遠くへ行っても高いままだった。
武器をジャラジャラ持っている姿といったらもう本当に強そうで鬱陶しい奴である。
本当に、何であんな変な男が、私は好きなのだろう。
私は再びフリーズした。
自分の恐ろしさに。
フリーズした
(だって十刃(エスパーダ)に恋するなんて恐ろしいじゃない。しかもこんな弱い下等破面(アランカル)が)
理不尽に押さえつける生温かい手は確かに彼のものなのだ@薄雲
20110524
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