0092
「市丸様は何とも思わないのですか」
何にでも真面目を貫く彼女はボクにそう言うた。ボクは何にも言えずに細い目で彼女を見据える。真面目な彼女はやっぱり藍染サンに渡すための物を片手にボクに問うんや。腰にさした刀をこの頃抜いていない彼女はボクに刃向って勝てると思うとるんやろうか。ケチつけるのも大概にしい。
「何も」
そうボクが答えると彼女は「そうですか」言うて部屋を出て行った。背中に寂しい書いてあるんはどういう意味やろうか。いやいや、実際書いてあるんやなくて何となくそう見えただけやけど。カツカツてヒールならす音は何となく哀しいて泣いているように聴こえるんや。ボクの被害妄想やろうか。そうではないと思うんはボクだけやろうな。
(市丸様、貴方は誰かの為にそうやって裏切っているんですね、貴方の心が手に入らない私は切のうございます)
語らわない/理由はそれぞれ@薄雲
20110523
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!