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0088
ねえ 大事にするって言ってくれた
あの夏の日 最初のキス
溶けるような暑い日差しが
体温までわからなくさせた

揺れる蜃気楼
どこに消えたの
私を置いていかないで
忘れたくても忘れられない
どうしても

嘘つきのパレード
好きだって言った言葉を
証明してみせて
戻らないあの日は
真っ赤なの

もう歩かなくちゃ 一歩ずつでも
夏の終わり ひとりきりで
セミの声を聞き続けてた
いつか鳴き止んで楽になれる

笑ってくれた 選んでくれた
そして抱きしめてくれた
嫌になるほど
スライドしてく思い出たちが

嘘つきのパレード
覚えてる つないだ右手を
しがみつけなかった
失えば終わりなのに

空の向こうに日が落ちていく
止めることなんてできない
それを眺めて受け入れるだけ
何もかも

嘘つきのパレード
夜通しで開かれるのよ
うるさくて眠れない
君の声 君の手 君のキス
私にしてくれた事全て
あの子にもするの?
立ち尽くすパレード
好きだから お願い
消え失せて


“グリムジョー視点”

「別れよ」

彼女のその一言で全ては変わる。




初夏。

「好きだ」「大好きだ」「愛してる」

こんな言葉を並べて、告白すると、彼女は嬉しそうに笑って「私も」と言った。

体温を忘れさせるぐらい暑苦しいキスを彼女に落として、我が物顔で隣に置いていた。

だが、幸せとは長く続かない事であった。

笑った、繋いだ、言った、結んだ、抱きしめた、契った。

繋いでないと、しがみついてないと、いつか離れていく。そんな忠告嘘だと思い、否、無いと思い、知っていながら知らないフリをしていた。

堕落。

堕ちて墜ちて落ちた。

好きという言葉を証明させたが、それも嘘だった。

「好き、か」

儚いものだ。愛なんて。

たった一人の男、ウルキオラなんかに奪われるなんて、な。

契ったあの時の、彼女の全てを、忘れたくない。

彼女の全てを、アイツも知ると思うと、虫唾が走る。その上寒気がして、心拍数が上がり、憎悪が俺を支配する。

俺の傍にいない彼女。好きだ、愛してる。だから、

「消え失せろ」

嘘吐きのパレード@薄雲

20110321


あきゅろす。
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