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0086
憎悪の欲望

空も海も土も貴方もすべて..
声も、歌も、全て私の物に....
なってよ..

綺麗な服.用意してね.
私には及ばないけど.
あの子の服.汚して来て..
目障りなの.あの白いの..

踊りましょう,あの子の前..
靴を踏みつけて.転ばせ..
笑いましょう.憎みましょう..
貴方は私だけの物..

何故...あの子なの?
何故..私じゃない..
こんなに傍に居るはずなのに..

何故..あの子なの?
何故..私じゃない..
こんなに愛している.私..

空も海も土も貴方もすべて..
声も、歌も、全て私の物に....
なってね..

美味しいジュース..送りましょう
私の特製のエキス..
あの子のため、お祝いしましょう..
別れの記念日になるわ..

もう遅いわ..
戻れないわ..
貴方は私だけの物..

泣かないでね..
喜びなさい..
今夜は抱いてあげるわ..

何故..あの子なの?
何故..私じゃない..
こんなに.傍に居るはずなのに..

何故.あの子なの?
何故..私じゃない..
こんなに愛している.私..

拭いきれない罪深き 私の思いは..
燃え上がる憎悪に 溺れてしまいそう..
絡みつく欲望 私を壊してしまう..
止められないのよ..
殺してよ..



“ヤンデレ藍染”


―――全てが欲しいと想う。―――

「君が欲しい」
「ごめんなさい」
彼女はそう言って死神側についた。
破面(アランカル)側の俺を捨てて。
「何故だ」
「私は、まともな、まともなままでいたい。それに、藍染。貴方が死神を裏切るというのなら…貴方が裏切り者と言うのなら。私は、私は…貴方を嫌う他無い。嫌い。嫌い。貴方が嫌い。裏切り者の貴方が嫌い。付き合うなんてもううんざり。私は、貴方を嫌いになった。そしてあの人に恋していると今頃、気付いた。それだけ、それだけなの。ごめんなさいなんてそんな事言わない。謝らない。謝罪なんてしない。自分の中で許可できない。許可する事なんてできない。私は許さない。貴方を許さない。裏切り者の貴方が嫌い。許さない。許せない。貴方は、私達、死神がが倒す。良い?覚悟しててよね」
そう言って刀を抜いた。彼女の瞳孔が開いていた。私は、彼女を敵に回してしまった。敵対してしまった。倒す対象、敵として。彼女と私は今相対している。
「そうか、それは残念だ。君を、私は愛しているというのに。それでもか。愛では足りないか。愛情をどれだけ注いでも。君は付いてこないか。そうか」
「ええ!裏切り者なんかには付いて行かないわ!私は、私は死神…元貴方の隊。そうよ。元。貴方の命令に従う理由なんてどこにもない。そうでしょ?藍染」
「もう、名前すら呼ばないか。惣右介、そう呼ばないのか。懐かしの言葉となってしまったのか。良い。思い出に浸ると良い。私の声に侵食されればいい」
「無理よ、もう。貴方が私達を裏切った時点で貴方は私の倒す対象。それ以上でもそれ以下でもない。それだけ、それだけなの。もう戻れない。貴方が悪い」
「戯言だ。そろそろ時間か。また合おう。次は虚園(ウェコムンド)で」
「待て!藍染!」
俺は彼女の前から消えて見せた。

暫く。暫くの時間が断って彼女は虚園(ウェコムンド)へと来た。ある男達とともに。
分かれ道で、彼女は阿散井恋次とともに道を行った。見張っていて解った事がある。彼女は彼に恋している。嘗て私にだけ見せた頬を赤らめて照れくさそうに笑う表情。それを彼に見せていた。沸々と腹の底から憎悪が沸き上がり、私はザエルアポロ。彼にある薬を貰った。名称は言わない。が、それを二つあるティーカップの一つに入れた。紅茶の色は何一つとして変わらない。色を変えずに溶けていく薬。全てが溶け終わった時に扉が大きな音をたてて開いた。一人の女。嘗て愛してくれた女。今愛している女。彼女が息を荒くして、立っていた。
「藍染……」
私は何一つ顔の表情を変えずに言う。
「取り敢えず、座りたまえ。調度、紅茶が淹れ終ったところだ」
そう言うと彼女は殺気を放ちつつ席へとついた。私は、彼女の前に紅茶を出す。
「毒殺か?」
「何も悪いものは入っていないさ。入っているものの言えば、愛か」
彼女は私を睨みつける。殺意のこもった視線を私は受ける。何とも無い。痛みなんて感じない。勘違いだと受け止めてしまえば。
彼女は少し戸惑った後一気にそれを飲み干した。ティーカップを机へと荒々しく置く。
「飲んだ。だから私からの条件も呑んで貰おう」
私は飲みかけの紅茶を机へ置く。
「聞こうか」
「まず、この戦争を中止して自首しなさい」
いきなり、唐突に、突然に。彼女はそう言った。言いたい事はなんとなく判っていたが。
まぁ、返事などする必要は無い。そろそろ。そろそろだ。
「……!」
彼女は椅子から床へと倒れこんだ。利いてきたのだ。例の薬が。今はきっと意識が朦朧としているのだろう。
「藍、染」
彼女は睨む。私を思い切り。だがそんな事どうだって良い。
「今夜は抱いてやる。安心すると良い」
彼女は完全に意識を失った。

拭いきれない罪深き愛という名のこの想いは、燃え上がる嫉妬という名の憎悪に溺れてしまう。私に絡みつく愛欲という名の欲望が私の理性を壊してしまう。破壊して破壊して破壊して。もう、戻れない。殺せるものなら、殺して欲しいとも、想う。

憎悪の欲望@薄雲

20110317


あきゅろす。
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