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0082
※緩く裏かもしれない。

magnet

か細い火が 心の端に灯る
いつの間にか燃え広がる熱情
私の蝶 不規則に飛び回り
あなたの手に鱗粉を付けた

絡み合う指ほどいて 
唇から舌へと
許されない事ならば 尚更
燃え上がるの

抱き寄せて欲しい 確かめて欲しい
間違いなど無いんだと 思わせて
キスをして 塗り替えて欲しい
魅惑の時に酔いしれ溺れていたいの

束縛して もっと必要として
愛しいなら執着を見せつけて
「おかしい」のが たまらなく好きになる
行けるトコまで行けばいいよ

迷い込んだ心なら 
簡単に融けてゆく
優しさなんて感じる暇など 
無い位に

繰り返したのは あの夢じゃなくて
紛れも無い現実の私達
触れてから 戻れないと知る 
それでいいの… 誰よりも大切なあなた

夜明けが来ると不安で 
泣いてしまう私に
「大丈夫」と囁いたあなたも 
泣いていたの?

抱き寄せて欲しい 確かめて欲しい
間違いなど無いんだと 思わせて
キスをして 塗り替えて欲しい 
魅惑の時に酔いしれ溺れたい

引き寄せて マグネットのように
例えいつか離れても巡り会う
触れていて 戻れなくていい 
それでいいの 誰よりも大切なあなた







いつの間にか藍染様のお気に入りの◎を目で追いかけていた。

誰よりも◎の事が気になっていた。

藍染様の部屋へ向かう◎が気に入らなくて、気付いた時には手を握って彼女を捕まえ、部屋の壁に押し付けていた。指を絡ませ、唇を重ねて。

「痛いって言ってるでしょう!?」

彼女のこんな声が鼓膜に響く。

「あぁ?」

「好きでもないのに…色欲のためにこんな事するの?そんなの嫌!離してよ!」

彼女は嫌そうに絡ませた手を解こうとする。

「好きでもない?巫山戯んな!俺はお前の事を前から…好きだったんだよ」

そう怒鳴ると彼女は驚いた表情で俺を見た。

「嘘…」

「嘘じゃねぇよ!好きでもないのにこんな事すると思ってるのか!?」

彼女はぽかんと俺を見る。当たり前か。

「でも…私の意志は訊こうとしないの?」

そう問われると俺は何も言えなくなった。一時的に昂ぶった感情で彼女にこのような事をしてしまった事を後悔する。不意に手を離した。

「◎…訊いたら、どんな答えが返ってくるんだよ」

そう言うと彼女は頬を赤らめ微笑み、俺の首に腕を回してきた。

「大好き。ずっと前から。大好きだった。でも言えなかった。藍染様が怖くて」

彼女の瞳は潤んでいる。

「…そうか。さっきは悪かった。俺もお前を愛してる」

彼女を束縛するように抱きしめた。



時間帯的には明け方になっていた。隣で眠る彼女の目にはまだ新しい液体の筋が通っていた。

「泣いたのか」

彼女が俺のことを好きだと言ってくれた。

彼女が俺を愛してると知り、抱き寄せたくなり、確認したくなった。彼女は幸福そうな笑顔で頷き、俺は先ほど確認した。間違いなど無いと思いたくて、藍染にされたキスの感覚を消したくて、それをした。

「大丈夫だ」

彼女の頬をそっと撫でると彼女はゆっくりと瞼を開けた。

「本当?」

彼女は縋るような思いで訊いてくる。

「ああ、俺が護ってやるよ」

そう言うと彼女はニッコリと笑って「絶対ね?」と言うと再び規則正しい寝息をたてて眠った。

「絶対な」



例え、これから始まろうとしている大きな戦争の中で離れ離れになったとしても、磁石の様に…マグネットのように俺はお前を見つけ出す。絶対巡りあえる。巡り合ってみせる。何故ならお前は誰よりも、何よりも大切なのだから。

magnet@薄雲

20110312


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