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※7777hitリク。切甘のつもり。同僚の十刃ヒロイン。
「いや、何でもない」
彼女の言い放った無造作で理不尽な言葉に、俺は酷く冷静かつ容易な言葉を向ける。
「そうか」
全く、とんだ幻想だ。
◆
「私の番号?」
「そうだ」
彼女の太ももに刻まれた番号。十刃(エスパーダ)象徴であり証拠の番号に彼女は目を向ける。4.5。微妙な数字だ。
「何で少数なの?」
「それは藍染様に訊け」
「別にそこまでして知りたいなんて思わない」
不思議そうな表情を浮かべた後くるりと回って彼女は歩き出した。俺に背を向け、自宮へと向かう。
俺の心配など不要という軽々しい歩き方。
それが彼女の“最初”だった。
◆
十刃(エスパーダ)に慣れてきた頃、彼女は任務も難なく一人で遂行していた。
俺にとってはどうでもいい。
数日後、俺は彼女と組んで現世で死神と一戦交えることになっていた。
会話のないまま現世に辿り着く。
すぐに死神どもは俺達の霊圧に気付きやってきた。
特に興味も無い死神に時間はかけられない。4人のうち3人を俺が始末した後彼女の方を向く。彼女もその死神の一人を倒していた。かなり苦戦したらしい。十刃(エスパーダ)とは思えないほどの傷。
「おい」
「何?」
冷たい視線を返す女。
全く、憎らしい。
「その腕はどうした」
刀傷を抑えている手。知っていて訊いた。
「斬られただけ」
「再生は」
「私にはできない」
何でも彼女は再生ができないらしく顔を顰める。かなりの大量出血だ。
俺は止血をしようと近寄ったが彼女から遠ざかっていった。
「触るな」
そう言い放たれる。
俺の中に憎悪が生まれる。
「何だと?」
「だから、気安く触るなと言っている」
ふいっ、と顔を背ける彼女。
かなり痛いであろう腕。
「そのままでは死ぬぞ」
「構わない、私は死ぬべくして生まれてきた」
「だが」
「良いから放っておいてくれ」
そう言って俯く彼女を俺は貶めるような視線で見ていた。数分間威圧する。だがその数分後、彼女は倒れた。
◆
「ん……?」
彼女の目が覚めたのは明くる日。
酷く青白い顔をしている。虚ろの目で俺を見据える。
「起きたか」
「……何だ、用か」
「看病してやったのにも関わらずその言い様か」
「放っておけ」
「……大した物言いだな」
「貴様には関係ない」
「何故だ」
「私に関わろうとするな」
「理由を訊こう」
「……っ!」
俺は彼女の顔をこちらに向けてやった。目のやり場に困る彼女を容赦せず見つめる。
「言えないのか」
「これ以上、私の心に入り込むな、でないと、私が可笑しくなる」
頬を真っ赤に染めて涙ぐんだ視線で俺ではない方を見る。
「俺が嫌いか」
「そうじゃないっ!でもっ!」
でも何だ。
「好きになっちゃいけないでしょう?」
「誰がそんな事を言った」
「……誰も」
「では何故自分を縛る」
「それは」
「好き嫌いは自由だ」
そう言って彼女を放し、背を向ける。
俺は、彼女のことが好きなのに、彼女は俺を特別視する。気に入らない。
「待って!」
彼女は俺を呼び止める。俺は振り向かずに立ち止まる。
「好き、貴方が、ウルキオラが、好き」
必死の震えた声に俺は振り返った。
その後言った言葉は「俺も」「貴様を」「愛している」だった事は言うまでもなく当然で必然的な運命だった。
瞳に写る幻想/7777キリリク、葉音様のみお持ち帰りOK、文句OK、書き直しもお申し付けください@薄雲
20110520
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