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※死ネタでウルキオラがドイツの軍人さん。そしてヒロインはフランスの女性軍人さん。第二次世界大戦中の戦いなのでそれなりに。ウルキオラ視点。しかも前世捏造。それでも良いという方だけお話をお読みください。

関係
ウルキオラ(ドイツ軍人)
ヒロイン(フランス軍人)
ウルキオラの親友(ドイツ軍人)
藍染(ウルキオラの上司)




















1940年。夏。フランスにドイツ軍侵攻。フランス軍対抗するもドイツ軍の圧倒的な強さを前に恐怖を覚える。

「なあウルキオラ」

同期の軍人が俺に話しかける。

「何だ」

「散歩に行かねぇか?」

「そんな事して良いと思っているのか。いつ指令が出されるか解からないのだぞ」

いつもながらの辛口を彼に浴びせる。だが呑気な彼はそれをサラッと流しながら、

「良いじゃねぇか。ちょっとぐらい」

と言う。全く、こんなふざけたドイツ人、俺はこいつ以外見た事無い。

「行きたいなら勝手に行け。俺は行かん」

「つれねぇな」

彼はハハっと笑った。場の空気を和ませる。

「それにしても」

「ん?ウルキオラ?」

「先程から思っているのだが、フランス軍は何をしている」

「あ、寝てるんじゃね?もう夜だし。それより星が綺麗だな」

「綺麗と言えば、日本人に英語の“I love you.”を“今夜は月が綺麗ですね”と訳した学者がいるらしい」

「ふっ、本当の馬鹿か、かなりのシャイか解からないな」

にこやかに笑う彼。俺は空を見上げた。星が綺麗だ。

「何だあれ」

不意に彼が森のほうを見た。かなり遠いようだが人影がふらふらとしている。遠目のためか良く見えない。敵か味方か解らない状況。俺は確認を取るためにそこを立った。

「あ、ずりぃー。散歩かよ」

「確認だ。着いてくるな」

俺は彼をこう言って切り離し、その人影に近付いた。

近付くたびに見える色。見るからにフランス人だ。

その人影は俺に気付いたのか、逃走を始めた。さすがフランス人。逃げる逃げる。まるでイタリア人だ。

ただそいつの足は遅く、走り方にも違和感が有り、すぐに捕まえた。

「っ!」

「そこまでだ。武器を離せ」

手首を持った限り、細腕で折れそうだった。それに再び違和感を感じて深く被った帽子を押し上げて顔を見る。

「!?」

青色の瞳にブロンドの髪。細い首に細い指。ピンク色の唇。

全て女のものだった。そして女だった。

「女が何故戦場(ここ)にいる」

俺は彼女に冷たい視線を向ける。

「私は女ではないっ!」

必死に抵抗するが、女が男の力に勝てるはずもなく、腕を後ろに回してやった。

「女のスパイか。フランスも笑わせてくれる。ましてやこんな貧弱な女だと?舐められたものだな、俺達も」

「やめろっ!私はっ!」

青い瞳が潤う。白い肌。月明かり。
なんだ、綺麗じゃないか。

「女だとて容赦などしない」

「……殺せ」

威勢の良い女だ。殺せというだなんて俺は思っていなかった。面白い。

「このまま拷問して機密情報を言わせるのも悪くない」

「それならこの舌噛み切って死んでやる」

なんていう女だ。

「女」

「だから私はっ!」

「男と言うのか」

「そうだ」

なんて必死なのだろう。面白いというよりも、滑稽だ。

「名を、聞かせてもらおうか」

「貴様に名乗る名なんて無い」

「……俺はウルキオラ・シファーだ」

「へぇ、怒らないの?」

驚き気味の彼女。名前が知りたい。

「貴様、下の名だけでも名乗れ」

「……イリア」

「やはり女ではないか」

「っ!五月蝿いっ!私は軍人だ」

「おい、イリア、貴様に家族はいるか?」

彼女の表情が曇る。ついに涙を流し始めた。ああ訊くんじゃなかった。

「ウルキオラだっけ…?貴方達に殺されたよ。全員」

俺は口篭る。俺が、か?

「そうか、悪かった」

「何言ってるの?ウルキオラは悪くないでしょ?悪いのは上の人たちと日本かな」

哀しそうに泣きながら笑う。もう笑わないでくれ。

「復讐か」

「別に。私さえ死ねば私が苦しむ事なんて無いじゃない。周りがどう思おうと私は、無に還るんだから」

えへへ、と無邪気な表情を見せる彼女。ああ、こういう風に笑うのか。

「そんな事は無い」

「変なの」

彼女の拘束を解いてやる。

「さっさと行け」

「は?」

「逃げろと言っている」

「どういう事?」

「死ぬな。次会う時は戦争が終わった後だ。その時はベルサイユ宮殿前で会おう」

「はぁ?」

「良いから早く行け。長居はできん。俺も帰る」

そう言って俺は彼女から離れた。ああ不思議だ。不思議と心が重い。



「おかえりウルキオラ」

「何だ」

「上が呼んでたぞ?」

「……今行く」

嫌な予感がした。重い空気。

「やあ良く来たウルキオラ。ところで頼みたい事がある」

「なんですか」

「この写真の者を殺してきてはくれないか?何、君の能力なら容易いさ。今すぐに行ってきてくれ。こちらも急いでいる。一人は指揮をとる者、もう一人は、私を憎む者だ」

俺は手渡された写真を見る。嫌な予感が当たった。

イリア、だと?

「どうかしたかい?ウルキオラ」

「いえ、何も。今すぐ実行します」

逆らえない自分が何よりも憎かった。



引き金を引く。銃口は大きな音を吐き出して、彼女を真っ赤に染めた。
そして俺は堕ちた。

..degeneration..

(敵対と相対を恨みます)
(虚に堕ちたのは貴方だけじゃない)
(貴女の心は救われない)
(貴方の心はただ堕ちる)

..degeneration../キリリク7000、 (ウルキオラの軍隊パロで切ない死ネタ)蓮歌様のみお持ち帰りOk@薄雲

20110516


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