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0072
拝啓、恋愛を知らない君へ
誠に恐縮ですが、本日私は君のもとを去ることになりました。なんでも私、番号がもらえるらしいです。君より上ではないと思いますが少しばかり躊躇いがあります。君の元を去り、自宮が与えられ、任務も上級のものを受けるらしいです。恋愛感情よりも前に、感情を知らない君は哀しいとか寂しいとか思わないでしょうね。でも、この手紙を読みながら目から透明の液体が流れたならそれは哀しいか寂しいのどちらかでしょう。まあその前に君は涙なんて流さないでしょうね。皮肉ではないですが、少しも君の気持ちになれない自分が最後まで煩わしかったです。根拠の無い無表情も根拠の有る無表情も最終的には同じ無表情という事に私は不可思議な感情を抱きます。君の無表情に根拠が有るか無いかは私なんかには全くと言って良いほどに理解できないものでした。君の無表情は無感情からなる無だったのかもしれないという事を私は今になって少し理解しました。敵を欺き味方を欺き私を欺くその瞳を私は汚いとは思いません。翡翠色なんて、とっても綺麗じゃないですか。淀んでないその瞳で見つめられるたびに私はまた一つ息苦しくなるのです。ああどうかその瞳に私を写して消さないで下さい。一生、そこにだけでも私を残してくださいね。貴方には心が無いらしいので心に残す事はできないと思いますから。最後に、今夜は月が綺麗ですね。
元従属官より

俺にはやはり虚無しか残らなかった。そこには虚しさだけが残り、無に還る。

拝啓、恋愛を知らない君へ/ありがとうまた会おうね、次は別の関係で@薄雲

20110514


あきゅろす。
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