0068 「わぁ!猫だよグリムジョー!」 「あ?それがどうした」 見ると猫がダンボールの中でにゃぁにゃぁ五月蝿く鳴いていた。青がかったその猫は幼く、彼女はそれに興味をしめし抱いた。 「可愛い!」 「そうか?」 「そうだよ」 彼女はその人懐っこい猫と戯れる。 「さっさと帰るぞ?」 「えー、この猫グリムジョーに似てるのに」 「似てる!?こんなちっこいひ弱そうな猫とこの俺が!?」 「うん」 彼女は笑顔でそう言った。 「そうか?」 「うん、とっても」 「俺豹だぞ?」 「あ、そうだっけ?」 彼女は猫をダンボールの中に哀しそうに入れなおした。 「じゃあ良い人に見つけてもらいなよ?」 彼女は猫にそう言う。猫は猫でにゃぁと返事をした。 「帰るか」 「うん」 彼女と俺は闇に足を踏み入れた。 俺によく似ているらしい猫を光のそこに残して。 ダンボールの中のそれ/明るいとこと暗いとこ@薄雲 20110512 |