0054
憂鬱だ。とてつもなく憂鬱だ。破壊しようと思って殴った窓が割れないよりも苦しい。ていうか割れなかった事無いけど多分割れなかったらこんな感じだと思う。曖昧模糊で滅茶苦茶な任務を与えられただけでこんな感情になるとは思わなかった。贔屓とか受けられるよりももやもやする。吐きそうだ。気分が悪い。ぐるぐる混ざる胃の中のせいで吐きそうだ。くそ。何で俺なんだ。よりにもよってなんでこんな任務なんだ。藍染の野郎、こんな任務俺に与えるなんて無理があるだろう。フォーユーされても素直にサンクス言えねぇじゃねぇか。どっちかというとお返ししますだこの野郎。あー、むしゃくしゃする。藍染の野郎のこと考えただけでむしゃくしゃする。それよりもこの任務内容にむしゃくしゃする。何か破壊してやりたい気分だ。俺が不器用なの知っててこの任務かよ。てかなんでこういう任務をウルキオラとかハリベルみたいなもっと乙女チックで器用な奴に与えないんだよ。煌くばかりのこの俺の活躍がそんなに見たくねぇのかよ。破壊してる俺のほうが絶対かっこいいし似合うだろ。何でだよ。何でこんな任務が俺の任務なんだよ。くそう。藍染の野郎。明日からは敬意を込めて愛染明王って呼んでやろう。よし、そうしよう。そうやって俺は藍染の怒りを勝ってやるのだ。もう破面(アランカル)なんて止めてやっても良いからこんな任務与えないでくれ。こんな不器用な俺にビーズでアクセサリを作ってそのうえ彼女に渡せなんて、本当に無理だ。最悪だ。消えてなくなってしまえ。だいたいこんな米粒みてぇなキラキラした石を通した紐なんてあいつ喜ぶのかよ。なんつったっけ。ペンダントだったか?この米粒みてぇな石に説明書通り紐通せば十字架ができるのかよ。そんな無理矢理感が見ているやつに染み出てくる物なんて本当に嬉しいのかよ。世の乙女はこういうのを好むのか?てかあいつ破面(アランカル)だろう!本当にこういうの好きなのかよ。俺はこれの存在理由が解んねぇよ。俺も破面(アランカル)だが、この石の良さが解んねぇよ。あいつには解るのか?あいつには解るのに俺には解んねぇのか?畜生!なんなんだよ。何で俺?一日で作れ?あいつが任務に行ってる間に作れ?あいつの任務ものすごく容易じゃなねぇか。すぐ帰ってきちまうだろ。藍染も無理な事言うなよ。オイ、なんなんだよ。あー、もう藍染死ね!消えてしまえ!俺の手じゃなくても良いから今すぐ失せろ!あ?あと紐結ぶだけか?うっしゃぁ!終わった!終わったぞ!これで良いのか!ていうかどう言って渡せば良いんだよ。こんな物あいつにやったら調子乗るだけだろうが。そんなことしたら俺は一生笑いものじゃねぇか。一生どころか来世辺りまで。なんなんだよ。頼むから全員消えてしま「ただいまグリムジョー!任務終了なんだよっ!」うわぁぁぁっ!
「おおおお、おう、いきなり入んじゃねぇよ!ノックして俺が返事したら入れ!」
俺は先ほどの物を隠して言う。
「あれ?何か隠した?エロ本?」
「エロ本じゃねぇよ!」
俺は勢いでそれを彼女の前に出してしまう。やっちまったぁぁぁああああ!
「わぁぁぁ!可愛い!グリムジョーこういう趣味だったんだね!」
「違ぇ!これは…」
そこまで言って言葉につまる。
「なあにグリムジョー言ってみなよ」
馬鹿にしたように言う彼女。
「………やる」
俺は彼女にそのビーズで出来たペンダントをほりなげる。
「え?良いの?」
「ああ、勝手にしやがれ」
そう言うと彼女は嬉しそうに首にそれをかけた。
「わぁい!有り難う!」
それをつけたままくるくる回って喜ぶ彼女は扉へと向かった。
「オイ、どこ行くんだよ」
とう問うと彼女はえへへ、と笑って言った。
「そりゃあノイトラとかウルキオラ様に見せびらかしに行くんですよ!グリムジョーから貰ったって!」
「は?」
「じゃあ行ってきますね?」
「オイちょっと待てゴラァ!!」
繊細
(わぁ見てくださいウルキオラ様、ノイトラ!これグリムジョーにプレゼントしてもらったんですよ!すごくないですか?)
(あの下衆がか)
(あァ?本当か?)
(オイちょっと待てそれは俺がやったんじゃなくて)
やってみたかった。@薄雲
20110504
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!