0034 “ヒロイン視点” 「鳥になりたかったの。海を自由に泳ぎまわりたかったの」 私は唐突にケイゴに言った。 泳ぐ、というのは飛ぶという事。 ちゃんと受け止めてくれただろうか。 「なれば良かったじゃねぇか」 そう彼は言う。 私は彼を見ずに青い空を見つめてた。 だから彼の表情は判らない。 風が気持ち良い。 飛びたい。 その思考が私を絶望させた。 だって、私は人間だから跳ぶ事しかできないのですもの。 鳥。 羽を持つ尊い存在。 「生まれる前に神様が決めた事だもの。私は人間に生まれるべくして生まれたの。きっと」 彼に視線を向ける。 彼の視線が私に突き刺さる。 「そうだな」 彼は皮肉そうに微笑む。 ちょっと、悔しかった。 鳥/ケイゴって使いやすい@薄雲 20110403 |