0021 「知っとる?そこの窓、ほら、キミの後ろの。そこって昔女のヒトが飛び降りたんやで」 「うにっ!?」 「んでさ、今もその女のヒトが幽霊になってなぁ」 「にゃぅっ!?」 「助けて、助けてってな」 「いやぁぁぁあああ!」 ボクが顔の影を濃くすると彼女は泣き出した。いや、どちらかというと話が恐かったのかもしれへんが。 「市丸様、それって」 「ホンマや」 彼女の脅える顔に笑いを漏らしてしまう。 「本当に本当の本当、なの?」 「ホンマやっつっとるのに。信じてくれへんの?」 「いえ、信じます、けど」 彼女は背後の窓を見る。そしてそこからゆっくりと離れてボクの背後へと隠れる。 「怖いです」 「そないに?」 「幽霊怖いもん!」 「へぇ」 彼女は瞳に沢山涙を浮かべている。虐めるのも大概にせなあかんな。 嘘で脅かしてみる/こんな話怖くない@薄雲 20110302 |