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0144
※現パロ17設定。ウルキオラとヒロイン双子。

マンションの一室に住むお隣さんは引き篭もりである。学校には行っていない。行く気もない。背は低く肌はそれはもう、雪のように真っ白。青がかった黒色の長い髪を引き摺っていつもは扉を開く。いつもは。そう、今日は違った。違うやつが出てきた。彼女の双子の兄、ウルキオラ。

「何をしにきた下衆」

「何でテメーがいるんだよ」

「それはこっちの台詞だ」

ウルキオラはそれはそれは煩わしそうに俺を睨んだ。

ウルキオラは頭が良く、十七でこの世で最高のアメリカにあるプログラムの上の方へ就職している。その為、彼女の通帳にはとんでもない金額が入っている。しかしウルキオラはそのプログラムでの怪しい活動で忙しい為、日本に来るのは本当に珍しい。だから顔を合わせたのは多分三年ぶりぐらい。故にウルキオラは奇才、本当の天才とはこの事だ、と俺は思う。彼女は彼女で鬼才だが、兄も兄だ。恐ろしいくらいの頭脳を持った兄妹。俺なんかはただの凡人。

「お兄ちゃん、誰だった?」

ひょっこりと彼女は頭を出した。

「あ、グリムジョー!」

俺を指差してタトタトっと愛らしく近付いてくる。俺の近くまで来たところでウルキオラにひょいっと持ち上げられた。彼女は「どうしたの?お兄ちゃん」とウルキオラの顔を覗き込んで言う。

「こんな奴にかまってやらなくても良い。ほら、さっさと奥の部屋へ行け」

「ええー、そんなあ」

彼女とウルキオラは変に仲が良い。

「おい、飯」

そう彼女に言うと彼女はパアッと表情を明るくして万歳した。

「わあい!」

俺は一応、彼女に飯を作りに来ている。彼女は暴食だ。だから作るのにも一苦労。そしてすぐに腹が減る。

「入るぞ」

そう言って自分の家のようにずかずかとそこへと踏み入る。ウルキオラが全力の殺気をぶつけてきたのは無視しておいてキッチンへと向かった。先程まで両手を塞いでいた尋常じゃないくらいの食料を冷蔵庫につめながら彼女に「何が食いてーんだ?」と問うと彼女はニッコリ笑って「和食」と言った。

「貴様、もしや毎日ここへ来ているのではあるまいな」

とウルキオラがすごい顔つきで言っていた。シスコンめ。

「もう、お兄ちゃん、グリムジョー虐めちゃダメだよ。グリムジョーは私が飢え死しないために毎日ここに来てお料理してくれてるんだから」

ナイスフォロー。

「だからイリアも俺とアメリカに来いと言うのに……」

「やーよ、だってアメリカ怖いもん。それに飛行機乗れない」

彼女は飛行機が大嫌いだ。乗れない。車や電車には乗れても飛行機には乗れない。

そんな喧嘩混じりの会話をしている間に料理がどんどんできていく。料理は好きというわけではないが得意である。まあ、毎日彼女の要望に応えて料理を作っていたら得意にもなる。

「いっただきまーす!」

彼女は目の前に並べられた料理を、両手にフォークを持って食べていく。そりゃあもう物凄い速さで。

こんだけ食べても太らないのは多分、脳を使っているからだろうな。

「ごちそーさま!」

「お粗末様」

早い。物凄く早い。

「ところでお兄ちゃん。私から一つお願いがあるの」

「何だ?」

「私、グリムジョーと結婚する」

ウルキオラは手に持っていた湯飲みをガシャンなんて音をたてて落とす。そりゃあもう床はびちょびちょ。そして俺の方をギッと睨んだ。

「イリアに何をした」

「いやいやいやいや、まだ俺達付き合ってもねーけど?」

「まだ……ほう、付き合うつもりか」

「は?」

「ちょっとお兄ちゃん、私ももう17なんだから誰と結婚したって大丈夫でしょ?グリムジョーさえ18になれば」

「よりによってコイツか……?」

「うん」

そう言って彼女は俺にぴったりとくっつく。

奴から醸し出される殺気。

「18まで生きていられると思うなよ」

本気で、殺される。

そろそろ死ぬかも
(告白してねーよ)

彩様へ@薄雲

20110812


あきゅろす。
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