0142
「生温い」
出された紅茶を一口飲んで置いた。湯気はほんの少し上がっている程度で、本当に生温い。私は生温いものが嫌いである。嫌悪感を抱く。
「しょうがねぇだろ。ていうかお前、猫舌じゃなかったか?」
確かに私は猫舌である。でも、それでも、生温いものは嫌いなのだ。
「そうだけど、でも適温っていうものがあるんじゃない?」
出された茶菓子を食べて、溜息を吐く。
「そうか?でも火傷したらいけねーし」
「キスができなくなるから?」
そんな冗談を言うと彼はブッと紅茶を噴いた。図星だったらしい。相変わらず破廉恥な事考えてるなあなんて呑気な事を思いながらもう一つお菓子をとった。彼は口の周りを右手で拭いながら机を拭く。
「なわけねーだろ」
「図星だったくせに」
嘘吐き。嘘吐きー。
適温
20110323
20110809
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!