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誰も来ない。誰一人として来ない。誰一人として俺に話しかけない。どっきりなんて考えてた俺が馬鹿だった。今日が俺の誕生日だとして【は?●十回目の誕生日なんかもう嬉しくないだろ】的な事を考えてる事なんて当たり前だという事に今頃気付くなんて全く、とんだ愚か者だったな。すっげー馬鹿だ。でも何故だかまだ期待してしまう。彼女がここに来るような気がして。焦った顔して来るような、そんな気持ちだった。時刻は既に22時をまわっている。いつもと同じように月が静かに俺を見つめている……気がした。どうせなら彼女を見つめたい。そんな想いをはせながら、俺は眠る事にした。どうせもう、誰も来ない。

その時、ノックがした。霊圧的にイリアのような気がして俺は扉を開けた。案の定、彼女だった。彼女は不思議と服のところどころが薄汚れたり破れたりしていた。そしてそれを見ていると息を整える前に俺の腹へと飛び込んだ。

「どーした?」

不機嫌丸出しに俺は言うと、彼女は俺を見上げて笑った。

「ハッピ、バスデー」

「知ってたのか?」

「んーん、昨日廊下でウルキオラが教えてくれた。グリムジョー、教えてくれなかったじゃん。もっと早く教えてくれたら何か用意したのに」

「へぇ…まあ良いから入れよ」

そう言って彼女の手を引きソファに座らせてやる。水を出してやると彼女は足に常時装備しているポーチから小さな箱を出した。

「はい!プレゼント!」

彼女は俺に受け取れ、とそれを押し付けてきた。それを開けるとシャランと十字架の裏に“6”と刻まれたペンダントが出てきた。

「これは…?」

「今日さ、現世任務だったから急いで選んで帰ってきたの。私の事が見えるオレンジ色のお兄さんがね、お店屋さんに頼んで“6”って刻んでくれたの」

そう言ってえへへと笑う彼女の、危うさと愛しさがごちゃ混ぜになって抱き締めた。

「なあ」

「なあにグリムジョー。気に入った?」

「ああ、それよりさ」

「ん?」

「お前も貰って良い?」

プレゼントが欲しいのですが
(それは私に何をしろと言う事ですか)(悪いようにはしねーから)

緊急クオリティー@薄雲

20110731


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