0136
「暑い」
ポツリと彼女は呟く。タンクトップに短パン、裸足。ヒエピタを額に貼ってノーメイク。手には団扇。横には扇風機。クーラーの冷たい風を受けながらアイスをベロベロと舐める。それでも汗がだらだらと流れている。はっきり言えば、俺はこの部屋に居るのに限界を感じている。寒い。はっきり言って寒い。なのに彼女は暑いと。クールビズをエンジョイしている彼女の脳内に節電なんていう地球に優しい文字は存在しない。兎に角、彼女は俺の部屋でクーラーと扇風機をフル活用して電気代をガンガン消費している。全く、と俺は冷蔵庫から出してきたジュースを彼女の隣にコトンと置く。すると「ありがとー」なんてぼやきながらそれを頬へとすりつけた。ずっとつけているので凍傷になりそうだ、と俺はそれを没収。頬は真っ赤に腫れていた。
「あー、返してよー」
「るせー、ちょっとは宿題進めろよ」
「こんな暑い中できるもんかー」
「こんなに寒いのに何が暑いだ、一回この部屋の外出てみろ」
「いやー融ける」
「一回融かしてやりてー」
「五月蝿いなー」
「どっちが?」
彼女はやっともぞもぞ動いて宿題のノートを開けた。酷くだるい字でそれを進める。というか、30秒で二文字レベル。流石に遅すぎる。それでもやるだけマシか、と俺は長袖の上着を羽織って宿題を再開。10分ほど経ってちらりと彼女を見ると、彼女は寝ていた。
「おい起きろイリア、穴開きにされたいか」
「うなう」
変な声を上げた。起きない。
「おーい」
起きない。
「おい」
起きない。
「なあ」
起きない。
ガシッ。
「うわあ!」
起きた。
ていうか俺が彼女の横っ腹を蹴ってやった。
「起きたか馬鹿娘」
「こ、こんな起こし方…酷い」
「さっさと宿題やれ」
「い、イエス」
そう言って目を擦りながら再びペンを持つ彼女の頭を撫でてやった。本当に、目が離せねーや。
宿題が終わらない件について
(頭ガンガンする)(よし解った俺が治してやろう)
本当に終わらない@薄雲
20110727
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