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『限界ってなんだと思う?』、そういつの日か聞かれた気がする。俺はその時『知らねーよ』と素っ気無く答えた気がする。あの時は本当に何を訊かれているのかすら解らなかった。限界なんて知らずに理不尽に力で捻じ伏せるタイプの俺には、よく思考回路を働かせるなんて器用な真似できねーからただ本能的に生きてきた。

本能が邪魔するんじゃなくて、本能こそ全てで、限界なんてどういうことか知らなかった。いや、知ろうとも思わなかった。

それが正直な感想。

だがこの頃、その俺が知り得なかった限界の意味を知った。

ぐるりと腕を回す。彼女の髪はさらさらで良い香りだ。そんな頭に顔を埋める。昨夜あたりのシャンプーの香りに俺は包まれる。

「グリムジョー」

「何だ」

「好き」

「おう」

「だからさ」

「おう」

「そろそろ抱き締めるの止めてもらわないと私窒息死する」

「おう」

「おうじゃないよね!?死んじゃうって!限界だって」

いや、それは無理な話だ。てめーがノイトラの野郎を好きっていう時点で俺の中心は狂ったからな。

「限界?」

「だから皆同じくらい好きだから、離してって」

俺の方が限界だ。
これが、限界か。

限界
(そろそろこれ以上も良いか?)(ていうかその博愛主義やめてくれ)

正直に言えば窒息死させてやろうとか思ってました@薄雲

20110726


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