[携帯モード] [URL送信]
0134
「私はさあ、獅子河原君の事大好きなんだよ」

「な、いきなり何言ってんだイリア!吃驚させるなよ」

「でもさあ、この頃獅子河原君、月島さん月島さんって、ちっとも私を見てくれないじゃないの。ちょっと悔しい。月島さんに負けるとか。ねー獅子河原君。私と月島さんが崖から落ちそうで獅子河原君は一人しか助ける事ができません、どっちを選ぶ?」

「いきなり何だそれ!てか誰の仕業だ!そいつからまず倒してやる!」

「いやいやいや、違うって。あーそうそう。そうだね。黒崎一護」

「黒崎一護……」

「で、どっちを選ぶの?」

うーん、と唸るように獅子河原君は顎に手を当てた。すぐに私の名前が出てこないところが腹立たしいけど、まあ良いや、と答えを出すのを待つ。一分、二分。まだ彼は考え込んでいる。そんなに長い間考えないと答えっていうのは出ないのかしらと思いながら私は目の前に並ぶきらきらしたお菓子を一つ食べる。序でにこれは月島さんがこの間棚に入れてたやつだ。無断で食べている。紅茶も秘蔵品。帰ってきたら怒るだろうなあと思いながら紅茶をゴクンと飲む。おかわりを注ごうとした時、獅子河原君が「あ」と思い付いたように言った。よし、私の名前を言うのね。

「両方助けるッス」

「いや、1人だけって言ったよね」

「じゃあ月島さんは強ェから自力で上がれるッス」

「いやいや、何で」

「そしたらイリアを助ける事ができるじゃん」

そう言いながらニコッと笑う獅子河原君に「反則だよ」と苦笑しながら私はお菓子に手を伸ばした。

両方助けるさ
(このお菓子を食べたのは君かい?)(いえ、獅子河原君です)

崖で貴女の彼と友達が落ちそうになっています、どちらを助ける?勿論両方突き落とします@薄雲

20110725


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!