0132
※零番隊娘
「何してはるん?」
そう言われてハッと振り返るとそこには金色長髪男が立っていた。何だか不思議そうにこっちを見ている。この男が近づいてきた事に気付けなかった失態と屈辱で胃が混ざる。悔しいなあなんて思いながら苦笑すると男はやっぱり不思議そうにこっちを見た。何だか変な顔。私は立ち上がって一歩下がり男に名前を尋ねた。平子真子というらしい。変な顔に変な名前、おまけに関西弁ときた。あっちは私を不思議な子って思ってるんだろうけどこっちから見ればあっちの方が不思議な人だった。少しくらい警戒した方が良いかなと思いながら一応刀にも気を配り、私は彼に訊いた。
「貴方は何故私に話しかけたの?」
「そりゃあ寂しそうやったけんなあ」
寂しそうって馬鹿みたい、という言葉が一瞬過ぎったがその通りだったから何も言えなかった。
「で、貴方は私を寂しさから救ってくれるのかしら」
「いや、無理無理。絶対できひん」
完膚なきまでに否定されてしまった。その言葉に再び苦笑。私の中で彼は、不思議な人から面白い人に変化した。本当に、正直な人だなあ。
「ねぇ、お話聞かせてよ」
ずっと零番隊だったから寂しくて。そりゃあ零番隊の人たちは皆良い人だけど同世代もいないし強いから私だけ置いてきぼりな気がしてずっと孤独だった。だからこう、ほのぼのとした笑顔の正直な人を見ていると、魅了されてしまう。なんて溜息を吐きながら空を見上げるとどこまでも蒼くて溺れてしまいそうだった。
溺れ始め
(私が溺れたのは)(本当に空だけかしら)
零を書いてみた@薄雲
20110723
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