0128
「グリムジョーは知ってる?」
この頃入った新人の従属官(フラシオン)ことイリアは俺の背後からむっくり現れた。
「何だ」
そう短く応答すると彼女はにやりと笑った。
「乙女心は上の空」
「秋の空」
つっこむと彼女は「あれ」と疑問符を頭の上にみ5つ浮かべた。全力で間違っていたらしい。呆れるどころか諦めた俺は再び歩き出す。
「あ、ちょっと待ってグリムジョー」
「あぁ?」
駆け足でこちらに向かってくる彼女。なんとも間の抜けた表情だな。
「実はですね、その」
「あ?」
「だから乙女心は山の天気のようにころころすぐに変わるのです」
「だからどうした」
「だからさっさとチルッチに告白しないといけませんよ」
「はぁ!?」
俺は驚きのあまり尋ね返した。
ていうかなんで何の関わりもないチルッチに告白しなけりゃならねーんだよと内心凄く疑問に思う。それこそ頭の上に疑問符を6つ並べてやりたいくらいに。
「え、だってこの間お喋りしてたじゃないですか」
「勘違いだ」
喋った記憶は有れどあれは完璧に喧嘩だった。
「喧嘩するほど愛し合う」
「仲が良いじゃなかったか?まあ、それでも違うが」
このひょっとこ従属官(フラシオン)、本当に意味が解らん。理解のできない思考回路と言語が俺に疑問を増やす。
「で、何で告白しないんですか、仲良しなのに」
「あんな女と何で仲良いんだよ。あれは動物の話しで対立しただけでそんな風な話してねーぞ」
そう言うときょとんと彼女は俺を見た。
「それは本当ですか」
「ああ」
どんだけ勘違いしてるのか解んねー彼女との会話は続く。
それじゃあ
(疑問は増える)
意味解んねーとか言いつつ聞いてあげるような優しいグリムジョーが良いなと思う@薄雲
20110712
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