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0119
「スタークさん!」

俺は彼女によって昼寝を妨げられた。
現世の任務から帰ってきたらしい。
服が少しボロボロで、でも笑顔は眩しかった。
手には箱を何個か持っている。

何の箱だろうか。

「リリネット!ほら!ケーキだよ!」

リリネットも彼女に体を揺さぶられて起床する。

「ん、何それ、ケーキ?」

「うん、そ。ケーキっていう甘いお菓子だよ」

「それどうしたの?」

「現世で拾ったの」

それってどうなんだと思いつつそのケーキを見る。
チョコレートケーキ。
モンブラン。
チーズケーキ。
ミルフィーユ。
シュークリーム。
ロールケーキ。
…エトセトラ。

色取り取りのケーキが三つずつ箱に入っている。

「ね、スタークさんも一緒に食べませんか?」

「ああ、食う」

短く返事をして目をこすりながら椅子へと座る。
彼女の淹れた紅茶がふわりと香る。

「いっただっきまーす!」

とリリネットが齧り付く。
無邪気だなあ、と彼女が笑う。
リリネットは無邪気に、彼女は(リリネットよりは)上品にケーキを食べる。

「なあ」

「何?」

「甘くないか」

「このくらいが調度良い」

「そうか」

「うん」

俺にとって甘すぎると感じたケーキが彼女には普通だったらしい。

どちらかというと彼女は甘えてこない方だ。俺には厳しい方だと思う。だけど食べるものに対しては甘いものに目がない。(本人曰く)胃にブラックホールがあるらしく甘いものは全てそこに引き込まれるらしい。やっぱり女の子っていう生物は不思議だな。

俺は口を開く。

「ケーキは甘さ控えめが良い」

「何で」

「イリアは甘い方が良い」

彼女は顔を真っ赤にした。

「ばっ馬っ鹿じゃないの!?」

ケーキの甘さは控えめに
(彼女の態度は甘く)

雪様へ@薄雲

20110702


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