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0110
※お嬢様ヒロイン

彼女はミニスカートをくるりくるりと回しながら俺に微笑んだ。
その微笑といえば、邪悪なまでに俺の心を魅了する魔性のもの。

「ねえ、ウルキオラ」

そう言ってふかふかの豪奢な椅子に無邪気に座る。

やはり笑顔で。

「何だ」

藍染様曰く破面(アランカル)の心臓を司る特別(スペシャル)の存在。
逆らえないし、殺せない。

彼女が死すれば俺達は全滅する。

だから厳重に締められた扉の向こうに住んでいる。
この扉の向こうに入る事ができるのは彼女に許可を得た者だけ。
呼ばれないと入れないし、呼ばれたら入らなくてはならない。

「あのさ、お喋りしようよ」

「ああ」

断れない。

まるで悪魔だ。
俺が慕っていても結局はそれに気付かずにこうして笑顔を振りまく。

「現世って楽しいの?」

「ここと変わらない」

「ここって、この部屋の事?」

「ああ、そうだ」

「本当に?」

彼女は興味津々。
俺はそれを突き放すように、興味を殺ぎ落とすように話す。

彼女が悪魔なら、俺も悪魔になってやろう。

「ああ」

「でも、でもここよりも希望に溢れているのでしょう?」

「……」

「ここよちも光に満ち溢れていて、すこぅし絶望があるけど皆希望を持っている、そういう所って聞いたよ」

「……」

「グリムジョーは愉しいって、ノイトラは暇潰しって、スタークはどっちみち眠いって、リリネットは可愛いって、ザエルアポロは参考って、ハリベルは綺麗って、チルッチは不思議って、皆そう言ってた。でも、それでも結局ここと変わらないの?」

俺の一言で、希望は絶望に変わる。
どう答えるべきなのだろう。

「さあ」

「さあって、また曖昧に答えるんだね。曖昧模糊って、なんだか嫌い。遠まわしに承諾したり遠まわしに拒否したり。なんだか解んないから嫌い」

「……」

「だから正直に言って、お願い。私もこの外を、私も知りたいの」

これだから箱入り娘は嫌いだ。

我が儘で、自分勝手で、自己中心的で。
答えを求める姿勢が何より嫌いだ。

自分が答えではなく、人の言葉こそが答えという考え。

「確かに、愉快なところではある」

だから俺はこうやって、いつも悪魔になり損ねる。
あえて嘘を言ってもそれはそれで最高の答えのはずなのに。

「本当に?」

椅子から立ち俺の方へと来て下から覗き込む無邪気な彼女。
反則だ。

「ああ」

この表情に騙されて、俺はまた本当を言う。

悪魔になり損ねた
(貴様の気を引くために、皆と違う意見を言ったのに)

風は確かにボクを見ていた様提出@薄雲

20110610


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