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さっさと逃げろ。この俺から。今ならまだ間に合う。俺の手の届かないところへ。視界に入らないところへ。頼むから早く逃げてくれ。俺の中の本能がお前に触る前にさっさと逃げろ。じゃないと本能が俺を呑み込みお前を喰っちまうじゃねぇか。俺がお前に噛み付く前に、早く、逃げろ。

「あ、グリムジョーこんにちは。もうお昼ですよ。寝坊ですか?」

「るせー」

彼女を見るだけで俺の思考回路がぐちゃぐちゃになる。彼女の瞳も髪も唇も何もかもひっくるめて全てが麻薬だ。幼さの残る顔も俺からしてみれば硫酸よりも刺激的な薬だ。苦しい。彼女を見るのは苦しい。色々な思考が滅茶苦茶に混ざってゴールの無い迷路に迷い込んだかのような感覚に襲われる。絶望的なくらい拒絶して拒否して否定してくれれば俺の本能だってまだ正常なままだっただろう。精密機器をぶっ壊す様に投げつけたい気分だ。その白い肌を真っ赤な色で染めてやりたい。そして俺だけに笑顔を向けるように眠らせたい。ああ病んじまう。くそっ。何でだ。俺をさっさと止めてくれ。早く。お前を壊す前に。俺を壊せ。今すぐに。そしてお前は逃げろ。俺の元から。手の届かない程遠くへ。

「グリムジョー?」

「何でそこにいるんだよ」

さっさと逃げねえと喰べちまうぞ。

逃げろ/なんだ、何でこの頃病んでるんだ@薄雲

20110604


あきゅろす。
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