0102
※過去に色々(虐め)あった女の子です。所謂手首に傷有りですので苦手な方はUターンお願いします。
「ね、一護」
「ん?」
「いや、やっぱりいい。何でもないや」
ずらした言葉に興味を持つも、俺は彼女にこれ以上の詮索はできなかった。
一緒に帰っている間もいつもと変わらないような表情。
「なあ」
俺は声をかける。
彼女はくるりと振り返って「なあに?」と可愛げに首を傾げた。
「イリア、何かあったのか?」
一瞬驚いた表情をとった後、首を縦に振った。
「昔の話」
「ふうん?」
俺はそれ以上言わないでおこうと思ったが彼女の方から話してきた。
「実は私、虐められてたの」
◆
俺の部屋にて彼女は珈琲を飲みながら話した。
「あのさ」
いつも長袖を着ている彼女は腕まくりをした。
そこには生々しい古傷。
所謂リストカット。
「お父さんもお母さんも水商売、お兄さんは高校に入った途端出て行った。弟はお父さんに殴り殺された。戸籍はあるけど表面上だけ。両親はある日、私の前から姿を消した。事故だった。そして私は身よりがなくなっていた。だから中学時代それが原因で虐められてた。両親からつけられた傷も、クラスメイトからつけられた傷も全部一緒に見えた。ごめん、嫌われたくなくて言えなかった。気持ち悪いよね。ゴメン、別れる?」
涙を浮かべない彼女。
もしかしたらもう浮かべられないのかもしれない。
マグカップを机にコトンと置いて立とうとする彼女を俺は思い切り抱きしめた。
「辛かったろ」
「うん、痛かった」
「気持ち悪いなんて思わねーよ」
「え」
「イリアである事には変わりねーんだからさ」
「でも、一護まで嫌われちゃうよ」
「ンな事ねーよ」
「でもさ」
「泣きたい時は泣け」
俺はこれでもかというくらい抱きしめる。苦しいだろうか。
「う、ふぇっ、うわぁん」
彼女は俺に縋り付いて泣き始めた。
「私っ、怖かったよっ、だって、ひっく、グスッ」
「もう大丈夫だ、安心しろ、俺が、俺が護るから」
「一護っ、ありがとっ!」
泣きながら言った彼女の声からペルソナは完全に外れていた。
頼れ
(最初から俺に頼ってくれ)
反省はしてます@薄雲
20110602
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