0101
※失恋
「グリムジョー様、相談しても良いですか?」
「良いぜ」
「実はお付き合いしてる人がいるんです」
突然言った彼女の言葉に若干戸惑いながら平然を装う。それはどこまでもシンプルでどこまでも苦々しいアイロニーな笑顔だった。もしかするとこの場合はシニカルを使うのかもしれない。結局、俺は皮肉っぽい普通を装っただけの単なる失恋を受けたのだ。どこまでも俺を知らない彼女はどこまでも俺を傷つける。俺を傷つけたところで彼女は何一つ傷付かない。一方的な破壊的攻撃を俺はただ簸たすら受ける。
「そうか」
「はい、実は先日告白を受けまして」
無邪気に笑う彼女の幸せを願いつつも皮肉を込めた感情が俺から滲み出る。恋愛なんて残酷だ。ただ単純に俺をなぎ払う。俺を突き放す。どこまでも俺と彼女の溝を深める。相談なんて建前だけでただの略奪を行おうとする。
「で?」
「でもどうしたら良いのか解らなくて」
俺に貴女の特別な笑顔を向けることはしてくれないのですか。
please
(I love you. You love him.)
あなたのこころがほしい@薄雲
20110601
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