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BSR
年上嫌悪。.政宗
「なあ、お前に好きな奴はいるか?」
昼食中、唐突のかすがからの質問。ガールズトークの開始。
「ん?皆好きだよ」
「そういうのじゃなくて……」
かすがは呆れた様な視線を私に向ける。
「ほら、私が謙信様をお慕いするような…そんな特別な奴はいないのか?」
美術教師、上杉謙信。
「うん、いないよ。皆平等に好き」
かすがは溜息をついて右手に持っていたお茶を飲む。
「伊達政宗(先輩)。あいつの事は好きか?」
「ん?嫌いだよ」
「即答だな。さっき皆好きと言ったのは誰だ?」
「誰が『皆』に『政宗(先輩)』が入ってるって言ったの?」
酷い言い様。自覚のうえだが。
「そうか…いや、伊達政宗(先輩)。あいつにはお前の接し方が違うからもしかしてと思ったのだが。そうか。変な質問して悪かった」
「あー、あれね。あれは政宗(先輩)が私にいっつもベタベタひっついてくるから鬱陶しくて態度が違うだけだと思うよ」
「ああ、そうか。それもそうだな」
「うん、これからは馬鹿げた質問しないでね」
「ああ、分かった」
「それよりさ、かすが、佐助の事好きなの?」
かすがは顔を真っ赤にして否定する。
「い、いや!そんな事はない!違う!ありえない!あいつはあれだ、ただの幼馴染で」
「ふーん、幼馴染かぁ。少女漫画の初恋パターン@だね」
「あいつはあれだ。お前で言う政宗(先輩)だ!鬱陶しいだけだ!」
「へー、そうなのー?へー」
「そうだ。鬱陶しい奴ナンバー1」
「ふーん」
「だからお前も変な質問するなよ」
「了解してあげる」
「何故上から目線なんだ?」
かすがは苦笑する。
「それよりさ、そろそろ授業始まるよ。かすがのクラス、次美術なんでしょ?」
「ああ、じゃあまた後でな」
かすがは素早くお弁当を片付けて走って行った。
自分もお弁当を片付けて教室へ向かった。

◆◆

教室の前には、かの変態ストーカー野郎が立っていた。
「honey、どこ行ってたんだ!?心配したじゃねぇか!」
「…………なんでいるんですか?政宗先輩」
「ああ、honeyが俺に会いたがってると思ってな」
「それはそれは、とんだ迷惑ですよ。政宗先輩の勘は鈍いんですね。逆です。できる事なら会いたくなかったのですが」
「honey、いつもと変わらずcoolだな。そういうところ、嫌いじゃないぜ?寧ろloveだ。I love you. You love me?」
「すみません。純粋な日本人なので英語は解りません」
「俺はお前が好きだ。お前はどうだ?」
「すみません、政宗先輩の口から出る言葉は何語ですか?」
「日本語だ。Japanese」
「English please.」
「Oh…、発音はvery goodだぜ?」
「S'il vous plaît dites en français.」
私はフランス語得意なのである。
序でに、フランスとイギリスは100年戦争とかやってて腐れ縁関係なのである。
流石に政宗先輩もフランス語はできないだろう。敵国だし。
「honeyは意地悪だな。俺がフランス語できないとでも思ったか?」
効果は無かった。
「で、フランス語できるんですか?政宗先輩」
「ああ、できるさ。honey、俺をいったい誰だと思ってる?」
ああ、そうだった。80ヶ国語ペラペラの頭の悪い先輩だった。
「鬱陶しい先輩」
「それは酷いな、心がbreakされそうだ」
されとけ。いや、寧ろされろ。
「そうですか。ご愁傷様です。そういえば何故政宗先輩はここにいるのですか?授業は始まっているはずです」
「いや、honeyが俺の噂をしていた気がしてな」
先程の言葉を訂正しよう。勘の鋭い奴だ。
「してません。自意識過剰なんですね、政宗先輩は」
「その先輩っていうのやめろ。俺とお前の仲だ」
「どんな仲ですか?」
「ああ?そんな事も言わないと解らねぇか」
「ええ」
「お前は俺の未来のwifeだろ?」
違うだろ。
「生憎、私は婚約相手がいまして」
嘘吐きですよ、私は。
「ああ、俺か」
この人には何を言っても無駄だと思った。
「政宗先輩は「政宗で良い」
私が嫌です。恋人っぽくて嫌です」
「恋人だろ?honeyは」
「違いますよ。変態筆頭先輩」
「Oh…、ちょっとばかり冗談キツイぜ?」
「冗談なんて一度も吐いてません」
「本当にcoolだな」
もう既に私の精神状態の方が危ない気がする。爆発しそうだ。暴走しそうだ。
もう……
この先輩を殴ってしまいそうだ。
「あの、政宗先輩」
「何だ?」
「いや、なんでここにいるのかなーっと思いまして。いや、授業始まってますし」
「honeyに会いに来た」
「いや、私も授業したいのですけど。ほら、国語科の片倉先生も教室の前で呆れかえってますよ。呆れた目で政宗先輩を見てますよ。呆れきってて怒る気も起きそうにないですよ。片倉先生の溜息がかなり重いですよ」
「小十郎?どうでも良いじゃねぇか」
よくねぇよ。
「あ、いやー、それよりそろそろ私も授業を」
「俺より授業の方がimportantか?」
Yes.
「はい」
「honeyは恥ずかしがりやなんだな。言えないんだろ?俺のが大切ってな」
自意識過剰、自己中心的、ナルシスト野郎め。
「それより良いんですか?年下相手にこんな戯れ。少女趣味、ロリコンって言われますよ?」
「一途の間違いじゃねぇか?」
全然違ぇよ。
「本当にもう、授業したいのでどいてください」
「答えはNoだ」
「こういうの、ストーカーっていうんですよ?知ってましたか?」
「知らねぇな」
自分勝手だ。
「………、………、一回………、一回死んでください」
ついに言ってしまった。
それを政宗は楽しそうに聞く。
この人には衝撃とかそういう言葉はないのだろうか?
「照れるなよ」
照れてねぇよ。
「もう、いい加減にして下さい!」
「Ha!!!」
「退け、退けぇぇぇええ!」
政宗を力いっぱい退けようとするが、流石に高校男子のデカイ図体が小柄な女の子に退けられるわけなんてない。ビクともしない。全く、全然動かない。
顔を政宗へ向ければ、政宗は楽しそうにこっちを見ている。
うっわ、死ねばいいのに。
一回死ね、変態!
「そんなモンかよ!honey」
「……」
やっぱり動かない。
客観的に見れば虐めとしか見えない光景である。
「この…!変態筆頭!サディスト!ストーカー!自分勝手!自己中心的人間!自意識過剰!ナルシスト!セクハラ!セクシュアル・ハラスメント!パーフェクトTransformation!」
脳内にある政宗の印象を全部口から吐き出す。
「それはヒデェな」
なんて奴だ。こんな卑劣で愚劣な言葉で下衆呼ばわりされても……本当に動じない。
「もー、死んじゃぇ!」
「honey」
政宗は静かに言った。
「これからサボろうぜ」
まともな事じゃなかった。
「嫌です」
「俺の誘いを断るのか?」
「断ります」
「あ?」
「私には婚約者が」
「俺か?」
「違う」
政宗は面倒くさそうに頭をかく。
「この手は使いたくなかったんだけどな」
私の手を無理矢理ひっぱる。
おまわりさん、これは…強制連行というものではないですか?
「犯罪ですよ」
「関係ねぇな」
年上ってのは年下に偉そうにするから嫌いだ。
「離して下さい」
ひっぱられて歩きながら言う。
「No」
調子こきやがって……。
先輩だからって、犯罪に手を染めるのもどうなの?
「離せ」
「嫌だって言ったのが聞こえなかったのか?」
いや、聞こえたけど。
年上嫌悪。
(嫌い嫌い。年上なんて嫌い。一年か二年早く生まれたからって調子にのるな)

嫌悪を抱く少女@薄雲

20101221

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