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BSR
必然的な表情.小十郎
「小十郎、また戦ですか?」
「ああ、そうだな」
「私もついていって良いですか?」
「……あ?」
「いえ、なんだか、えっと、はい。ついていきたい気分なんですよ」
「女の来るところじゃねぇよ」
「私、刀も薙刀も槍も弓も銃も使えますよ。それでもダメですか?」
「ダメだ」
「小十郎」
「ダメだ」
「お願いですよ」
「ダメだ」
「……」
「何でついて来ようと思うんだ?」
「……女の勘ですよ」
「俺が死ぬっていう意味か」
「はい」
「随分と滅茶苦茶な勘じゃねぇか」
「うぅ…私、勘外した事ないんですよ?」
「ふっ、子猫は籠にでも入ってろ」
「酷いです」
「酷い、だと?」
「はい。いっつもいっつも子ども扱いして…私の事嫌いですか?」
「……まああれだ」
「嫌いなんですか」
「違う」
「じゃあ好きなんですか?」
「何で二択なんだよ」
「好きか嫌いかで」
「そっちか」
「はい、どっちですか」
「好きだ」
「随分と唐突ですね」
「まあな」
「じゃあ友達としてですか?」
「それ以上だな」
「わぁ吃驚」
「お前が言わせたんだろう?」
「そうでしたね」
「じゃあお前はどうなんだ」
「お慕いしております」
「無表情で言う台詞か」
「無表情以外の何で言えば良いんですか。あ、顔真っ赤にして言ったほうが良かったでしょうか?」
「…さあな」
「じゃあ約束です。この戦終わったら結婚しましょう」
「あ?何言ってやがる。俺、死ぬんだろ?」
「私を連れて行けば死にません」
「それはお前を連れて行けと言っているのか」
「はい」
「大した度胸だ」
「でしょう?」
「でしょうじゃねぇよ。俺は絶対連れていかねぇ」
「……鬼!」
「ふっ、何が悪い」
「だって、死んじゃうんだよ?なのに…」
「じゃあ死ななければ良い話だろう」
「約束だから。死んだら私も死んじゃうから。地獄までついていくから」
「お前殺生した事無いだろ」
「じゃあ今から虫殺す」
「そんな簡単なもんか」
「はい」
「じゃあな、また会おう」
「絶対帰って来てくださいよ!」
「おう」

約半年。
政宗とかその他諸々の兵は帰ってきたのに、一人だけ帰ってこない。
小十郎。
屍は見つからなかったらしい。

「生きてる事、信じてますから」
政宗にそう言うと、「そうだな」と頷いて気まずそうな表情を見せた。
必然的な表情
(信じて、ますから、ね)

何処へ@薄雲

20101231


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あきゅろす。
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