BSR
戻る.元就
※死ネタ
自分の口から溢れ出した窒素やら二酸化炭素やらの塊、泡を掴もうとして手を伸ばした。脇腹の大きな傷からは紅い液体が流れ出し、ヒシヒシと潮がしみて痛い。上に行けばゆらゆらキラキラと光る日輪を拝める。だがそれはもう儘ならぬ事なのである。例え泳いで上へ行き酸素を吸い込んだところで、出血多量で死ぬか、敵方の兵に首を獲られるだろう。必死に考えた戦略も、難しい計算式で練り上げた戦力も、全て泡と化す。
ゴポゴポゴポ
最後の最後まで自分の中の酸素を吐き出す。白い泡と化し、流れ出した紅い液体と混じる。汚い。走馬灯が巡る。今まで楽しいと思ったことは数えるほどしかない。嬉しいと思ったことも、数えるほどしかない。涙も殆ど流す事無く、いつも戦法を学んでいた。何の面白みも無い人生だった。
コポ
最後の空気が口から漏れ出した。記憶も意識も薄れていく。その中で、最後に彼女を見た。最後に彼女を愛していたと解った。
戻る/暗いですね@薄雲
20110324
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