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逃がさない.政宗
「私は、政宗の事が好きでもなければ、嫌いでもない。私は政宗の所有物ではないし、これからなろうと思った事も無い。思わないし、思えない。私は政宗とは他人であり、他人なの。他人以外にはなれない。そういう、事。理解、出来た?」
政宗はただ、その場に呆然と立ち尽くす。立ち尽くすしか、無かった。
「例え、政宗が天下をとろうとも、私は、私は絶対に政宗の手の内には入らない。理由は簡単であり、簡単以外の何者でもない。考えれば、分かる事。理解、出来てるよね?」
政宗は俯いている。
「私は人を好きになる事ができない。これから、幾千、幾億という時が過ぎようとも、ね。幾千、幾億という時をかけようとも、ね。ああ、それと、同盟、だったかしら。今の話、聞いていたなら返事、分かるよね?勿論、お断りします。ええ、それはもうはっきりと。嫌、と言った方が良いですかね?」
政宗は拳を握る。
「そう、ここは私の城であり、領地でございます。早々に出て行ってくださいな。でないと、侵入者として、捕まえる、又は、殺してしまいますよ。まあ、貴方が出て行かないというなら、それなりの対処をすれば良いだけ、ですがね。私と貴方は敵以外の何の関係も無いのです。まあ、他人、というところですか。どちらにせよ、早々に出て行っていただきたい。今すぐに。でないと、刀、抜きますよ?」
政宗は動こうとしない。否、震えている。
「あらあら、天下に近い男が一人の女の言葉に泣くのですか。恥を知らないのですか?人前で、女子の前で泣くなんて、ね。驚いた。いつもこんな風に泣いていると考えたら、笑ってしまうわ。ええ、もう笑いが止まりません。大爆笑、と言った所でしょうか?大爆笑では少し意味が違いますわね。うーん、そうね。苦笑、かしら?」
政宗は顔を上げる。左目に涙を溜めている。
「あら、まあ。驚いた。驚き以外の何の感情も出ないくらいに驚いた。まさか、本当に泣いていたなんて。冗談のつもりで言ったのに。吃驚だわ。怒りで震えていたと思ったのに。本当に意味の分からない男ね。まあ、それは、どうでも良いとして、さっさと出てってくれる?あんたの顔見てるだけで、虫唾が走るのよ。さあ、答えなさい。今すぐ大人しく出て行くか、今すぐここで斬られるか。さあ、選びなさい」
「ああ、今すぐお前をこの鳥籠から連れ出してやるよ」
政宗は女の手をひいた。
逃がさない
姫武者@薄雲

20101214

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あきゅろす。
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