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抵抗が出来ない様に手首を押さえつけ、つっ…と唇を鎖骨辺りへ持っていく。
ちゅっと痕が付かない程度に唇を落とすとつんっと消毒液の臭いがしてまたもマスターへ苛立ってしまう。
なんなんだろうか。これは…嫉妬?
それはないな、と自問自答しながらも鎖骨から耳へと愛撫して帯人を伺ってみる。
え、なんで泣いてんの。
「キカ…っ、やめ…」
「お前から誘ったんだぞ」
舌を入れたところで暴れだしたから、とりあえず離して低めのトーンで囁いてみる。
すると涙で潤んだ目を見開いたかと思うと睨んで勢いよく暴れ、拍子に解けた腕を振り上げてきた。ちょっ…!!
「……っ」
静止させる間もなく部屋中に良い音が響き頬がじんじんと痛みだした。
咄嗟に手を頬に当て帯人を見ると袖で顔を隠しながら鍵を開け部屋をドタバタと出ていった。
つか、鍵閉めてたのか。準備いいな、ムダに。
はぁ…っとため息を吐き出してベッドへ倒れ込む。
「何やってんだよ、まったく…」
俺も、帯人も。
特に俺は帯人がマスターを好きだと知ってて押し倒してしまった。
あそこで帯人が暴れなかったら、もしかしたら最後までやってたかもしれない。
今なら帯人が泣いてた理由も、アイツが誘ったとはいえ強姦まがいな事をしてしまったのだから納得できる。
「会わせる顔ないな…」
そう呟けば、いたたまれなくなって来たのと一人になりたい気分が爆発してしまって、部屋を出れば音も立てずに玄関から飛び出した。




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