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結局、ヘッドホンごとレンに奪われ昼飯までの数時間ずっと惚気話を聞かされた。
同じ話を何回聞いたんだろう…。
リビングに行く間も昼飯を食う間も、家事当番だったためエプロンを付けっぱなしで食べているカイトを凝視してはデレデレとした目線を向けていた。
そんなレンを嫉妬しながら不貞腐れ、ケンカを始めるリントとミクオ。
言い争っているミクオをちらちらと見るアカイトに無表情で全体を眺めるルキ、酔いつぶれているメイト。…あれ?帯人は?
「ねぇ、ちょっと…」
そこに居たのかよ。
後ろから首を締めるかの勢いで腕を絡めぼそぼそと呟かれる。なんかくすぐったい。
「なに?」
「……。」
何も言ってこない…ということはみんなの前じゃ言えないって事か?
立ち上がり自分の部屋へと向かうと素直に後ろをついてきているから正解なのだろう。
相部屋だといくらボーカロイドが多く住める家でも狭いわけで、クッションはあるがイスはない。
しかもそれはレンのバナナ形のクッションであり、もしかしたら帯人の事だからどっかをまた切ってるかも知れないし血が着くといけないから仕方なくまた朝の様にベッドに並んで座ることになった。
そして、言いたかった事を言ってみる。
「お前さ、マスターが居ないときぐらいちゃんと服着れば?せめてズボンぐらいチャック閉めろよ」
「……」
「うわっ!?」
何の気の迷いだろうか。
俺は押し倒され、上には帯人が無表情で跨がり顔を近づけ…
「……っ!!?」
目の前いっぱいに広がる紫がかった黒い髪と包帯、同じ顔と唇から伝わる感覚で全てを理解する。
「何してんだよ、お前っ!!」
力は俺の方が上らしく帯人の腕を払い押し戻す事が出来た。
「何ってキスだけど?」
「いや、お前マスターが好きなんじゃねぇのかよ」
なんとか冷静を装ってみるが帯人は謎すぎて対処の仕方が分からないため内心はパニクっている。
もし何かあって地雷を踏んでしまえばその時点で俺は壊されるだろうし、もしかしたら半殺しかもしれない。
恐る恐る聞いてみたは良いが帯人は俺を見下ろして黙り混んでいる。
もしかして、もう地雷踏んだか?
「うん…、まぁ、そうなんだけど…」
口を開いたかと思えば目を反らして顔を若干赤く染めてもごもごと話し出す。
「…前に遊びにきたルカとミクにいっぱい漫画を渡されてさ、それを読んで頑張ってと」
「待て待て待て、もしかして男同士でセックスしたりとかしてるやつ?」
「うん、シたいと思ったんだけどマスターは全然構ってくれないしキカイトで良いかなって」
そんな軽い気持ちでセックスしたいとか思うな!俺なら良いかみたいな言い方もムカツク。
なんだか無性に腹がたった俺はそのまま押し倒し元から露になっている胸元へ唇をもっていった。
「ちょっ…いきなりなっ…あぁっ」
びくんっと身体を震わせ高い声をあげる姿に何故か煽られてしまった。
口の中で弄ぶ様に転がしたり強弱をつけて吸ってやると尖ってきて弄りやすくなる。
「なに、お前、俺に弄られて感じてんの?」
「う、ぁ…」
尖ったそれを指で遊んでやり帯人の顔を覗くと普段じゃあり得ないぐらいに弱った様な顔をして顔を赤く上気させ声を必死に抑えていた。
なんだか初々しくて可愛らしいが、これもマスターの為かと思うともやもやとした黒い渦が渦巻く気がした。




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あきゅろす。
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