短編
大袈裟 [リボツナ]
黒板にはずらずらと並べられた文字や数字。
何を言っているのか理解出来ない教師の声。
そんなものは、俺を夢の世界へと、連れて行ってしまう──。
「…い、沢田!おい、起きろ沢田!」
「っはい!」
頭の上から突然降ってきた大声に飛び起きた。
数学の授業中に眠ってしまったらしく、教師が机の前に立っていた。
(やっべー…!先生怒ってるよ!)
焦りながらも、ただ謝る事しか出来なかった。
──休み時間になり、リボーンと二人で話していると、クラスの男子が数人寄って来た。
「おいツナー。お前また数学寝てたよなー」
「つーか授業中はいつも寝てるよな!」
流石にそれはない。と心の中で否定しながらも、
軽く流していると、調子に乗って、どんどん言って来る。
──そして、
「やっぱダメツナだな!」
──この一言を言われた瞬間、直ぐ側から鋭い声が聞こえた。
「取り消せ」
「え?」
「取り消せっつってんだよ。
こいつはダメツナなんかじゃねぇ」
先程まで、悪口を眉を寄せて聞いていたリボーンが、怒りをあらわにした。
「り、リボーン?どうしたの?」
リボーンが、人前で感情をあらわにするのは珍しい。
「…………帰るぞ」
「えぇ…っ?!」
ぐいぐいと腕を引っ張られ、校門を出る。
でもリボーンの表情はまだ怒っている。
「あんなの気にしないよ?」
「オレが気にするんだよ」
少し大袈裟な気がするのだが、悪い気はしない。
リボーンが俺の為に怒ってくれているのだと思うと、頬が緩んだ。
大袈裟
(リボーン、ありがとね)
(…別に。当たり前のことしただけだろ)
(でも、嬉しかったから)
(…………そーか)
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