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恩方とモフモフ
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「お・・・お待ち下さいアルベルト様。この者はこの辺り一の男娼です。どうか手を上げることはお許し下さい!ほら、アメジストも謝るんだ!」
「申し訳ございませんアルベルト様。けど、こんな酒の戯言で柳眉を逆立てるなんて、その立派な三毛の毛並みが勿体ないですよ?」
「アメジスト!」

アメジストと呼ばれた美しい男娼が美しい笑顔と同時に言った言葉に脂ぎった貴族の顔が引きつるが、アルベルトと呼ばれた貴族は振り上げた手を下ろした。

確かに酒の席の戯言に一々起っていては、この界隈での彼の評判は悪くなり、しかも相手が一番と言われている男娼なら大いにその面子は傷つけられるだろう。娼婦たちやその雇い主に嫌われることは貴族といえども避けるべき事だ。

何故なら彼女たち彼らは娼婦であると同時に優秀なスパイでもあるからだ。

貴族といえども男だから娼館を利用しない者はまずいない。そんな彼らを出迎える美味な酒と美しい娼婦達は、たちまち男たちの口を饒舌にしてしまう。甘美な閨で交わされる睦言は重要な情報源として雇い主が管理し金額に応じて様々な場所に提供されるのだ。

それは醜聞として広がり、時には王位継承者でさえ失脚させることが有る程である。

その為貴族といえども娼館で有力な娼婦や男娼には下手な手出しは出来ないのだ。

苦々しく手を下ろした三毛の男はアメジストを睨みながらソファーに座り杯を再びあおった。そんな彼を見てニンマリと微笑んだアメジストは床に膝を着き、しな垂れかかった。

「怒らないで下さいませ、楽しまないと嫌ですよ?」
「フン!誰のせいだと思っている!」

白く細い手を太ももに這わせられながら発せられる何処か媚びた言葉に、アルベルトは冷たい瞳を返す。

侮蔑の瞳を返されてもアメジストの笑みは歪まない。困ったように再び笑ったアメジストはクルクルと彼の下半身を刺激しながら一つ提案をした。

「まぁまぁ、そんなに怒らないで下さいませ。お詫びと言っては何ですが、私に良い考えが御座います。」
「おお!本当かアメジスト!アルベルト様、メジストは聡明さも確たるもの!あの大商人ゲイドにも一言を与えたのですぞ!」

アメジストの言葉に脂ぎった貴族から感嘆の声がでる。アルベルトは興味が出たようで、鼻で笑いながらその続きを促した。

「ほう?面白い話してみろ。」
「フフフ…。焦らないで下さいませ。全ては楽しんでからです…。」

そう言ったアメジストが合図すると同時に部屋の中に卑猥な衣装に身を包んだ美しい少年少女達が入ってきた。貴族たちが歓声を上げる。その内の一人の少年がランプを消し、暗い室内で香炉を灯した。

すると、ムッとするような甘ったるい匂いが部屋を満たす。

「さぁ、皆様お楽しみ下さいませ。」

その言葉を合図に部屋の様々な場所で乱れた遊戯が始まる。

彼自身も染みの一つもない体を露にして、アメジストは貴族達に身を委ねる。体を這い回る手は次々と彼の秘所を暴いていき、彼も貴族たちに快楽を与えながら濡れていく。

幾度も放出された白濁がその白くゆるウェーブした髪の毛や彼の曲がった角に掛けられ、その身を汚していく。男の肉棒を締め付けて腰を振るアメジストは立ち篭もる熱気の中、フト天窓を見た。

高価な良質なガラスでできた窓からは美しい満月が覗き、月の光が煌々と彼らを照らしていた。

それを愛おしそうに見上げるその金色の瞳に宿る、その冷笑の色に気付く者はこの部屋の中には誰一人としていなかった。

これは猫と狼が口無と戦う日の前夜のお話

【嗚呼…、白々しい。】

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あきゅろす。
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