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恩方とモフモフ
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「この世には四つの大陸があることはお分かりですね?」

私はアルの言葉に頷く。この大陸には基本的に四つの大陸に獣人達が住んでいる。

一つ目は一番大きな面積を要し、巨大国家が大陸全土を平定していた東の大陸【チョング】

二つ目は砂漠がひたすら続く鉱石に満ちた中央の大陸【マシュルク】

三つ目は温暖な気候に大河が横断し、一番小さいながら文学や学術に優れた文化が花開いていた【ローム】

そして最後に西の果ての大陸。温暖な気候と山脈と森に覆われた大陸【ユーラ】

私がいた頃のユーラは国というものが存在せず、各種族たちが村というコミュニテイーと維持して生活をしていた。

「現在我々猫人は【アイシャ】という国を作って住んでいます。アイシャは森に半分の国土を覆われ、別名森の国とも言われています。医術・学術・商業等数々の分野に長けて、このユーラの中でも有数の国です。そしてこの国はレン・イル・セトラ三人の人物、別名【三王侯】によって建国されました。」
「あの三人が国を!?」

「かってあなたがこの大陸を災禍より救われた後、悲しいことに災禍によって付けられた火種は大火となりこの大陸を覆いました。虎や獅子などの大陸の中で力を振るい主権を取っていた種族が傷つき力を失ったことで力のバランスが崩れました。そして訪れた混乱に乗じて大陸の主権を多くの種族や人が主張し始め、大陸は一時戦国時代となります。」

この時の時代のことは、獅子・虎・猫・の中では暗黒の歴史とされている。

元々傷ついていた彼らは他の種族に迫害を受け、土地を追われた。

「そんな中、一人の青年が森の中から二人の友人と供に立ち上がりました。それが当時の猫人の長であったレン、【片耳の治世王】です。【片耳の治世王】は友人である、最強の【傷の戦士団】を率いるイル。そしてその当時には既に各地で無償で医療行為を行い崇められていた【盲目の癒しの君】セトラと供に乱世を駆け抜け各種族の長と協力し、この大陸の混乱を収めたのです。大陸平定後にこの国を作った後、レン・イル・セトラ三名は国の基礎作りを務め上げ、最後には子宝に恵まれ大往生なさったと聞きます。」

アルはしんと静まり返った部屋で一息つきセクセラムを見つめた。

魔術師は一つ大きな息を吐くと、落ち着いた声で呟いた。

「そうか、やはり平穏にとはいかなかったようだな・・・。しかし、あの子猫三人がそんな大それた事をするとはな。その成長が誇らしいと同時に、その成長を見届けることが出来なかったのが恨めしい。」

魔術師は仄暗い切ない瞳で宙を眺めた。

「だが、色々大変だったみたいだが、皆最後には幸せになってくれて、こんなに国を大きくして栄えて私は嬉しいよ。レン・イル・セトラ。」

空中に遠い過去の幻を見ているのだろうか、セクセラムはそっと愛おしく「よく頑張ったな。」と呟くと瞳を閉じて誇らしげに笑った。

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あきゅろす。
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