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恩方とモフモフ
3
【アルの屋敷】

「アル様ダーメですって!」
「だって、コイツもう3日も寝ているんだぞ!寝過ぎだろ!」
「だからと言ってそれは駄目でしょ〜。マーサさんに叱られますよ!」
「お前が話さなければ問題ない。」

あまりの煩さにパチリと目を開けた私の頭上には、大きな桶を肩に担いだ小柄な少年とその華奢な肩に縋り付いている青年がいた。

「おぉ!目が覚めたみたいだ!」
「ハワワワワワ!!」

ササッと桶を隠した少年が気色満面で私を見下ろしてきた。横の青年は私を見て珍妙な声を上げる。

私は個人的に、少年が私に何かしようとした桶の中身が気になる。
さっきチラリと茶色い刺々が見えた…。

「君達は…一体…?」

体を起こして二人の猫人を見上げる。

どうやら私はベッドに寝かされているらしい。簡素なデザインだが質の良い天蓋付きのそれは、私がいた時代にはなかった物だった。

「キャァァァァ!喋った!めめめ目も開いてる!何と美しい黒藍色の瞳。動いてる!瞬きしてますよぉぉ、アル様!あっ!俺を見た!ワ〜イ☆」
「煩い馬鹿者が!お前は騎士団に騒ぐ小娘か!」

あまりの煩さに青年を見上げたら、何かアイドルを見た少女みたいに騒がれた。
何故彼は私を見て顔を赤らめている!?
息をあらくしている!?
ちょっキモい!?ベッドの上で逃げ場がないぃぃ。

ハーハー息を荒げながら、私を触ろうと手を伸ばした青年の頭を、スパコーンと少年が叩く。

ブピと変な音を発して頭を抑える青年を無視して、少年は私を覗き込んできた。窓から入って来る光を受けて、キラキラと少年の金髪と紫色の瞳が輝く。

かっ可愛美し〜。
なんだ!?この耽美小説から抜け出してきたみたいな美少年は!?

「ようこそ僕の屋敷へ。愛おしの【恩方】。」
「はい?」

少年は間抜けに呟く私を見て微笑むと、ゆっくりと私の額に唇を落とした。

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あきゅろす。
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