恩方とモフモフ
【空から人がぁ!】
「何だアレは!」
アルは城から出てきた光の柱を見て声をあげて立ち上がった。かなり離れている筈の丘からでも、その光の強さは分かる。
光の柱は暫くすると、砕けて無数の流れ星となって町に降り注いだ。そして、その内の一つがアルのいる丘に向かって落ちてきた。
正確には、アルに向かって…。
「うわぁぁぁ!?」
走るアル
追う流れ星
「ヘブシッ!?」
木の根に躓いたアルは頭から転んでしまう。少年の頭上を物凄い勢いで流れ星が通過した。
シャラーン
「ぐおえっ。」
流れ星が分樹に当たり、硝子が壊れるような美しい音がしたと同時に、ヒキガエルのような男の声がした。
体を起こしたアルが見てみると、流れ星の姿はなく、分樹の根元には一人の男が体を横たえていた。
アルが恐る恐る近付いて確認してみると気絶しているみたいだった。
その男を守るように、光り輝く葉がベッドのようにその体の下に広がっている。
そっと男が被っていたフードを外す。
すると頬のこけた顔が露になった。美形ではないが整った薄い顔立ちだが、アルの目を奪ったのはそれではなかった。男の顔の横にある耳は、猫とも虎とも猿とも違う、毛が無いおかしな形をしていた。
そう、まるで伝説の【恩方】のように…。
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